2007年9月4日火曜日

ジョニーは天使じゃない (Tu n'es pas un ange)


 ジョニー・アリデイのお母さんユゲット・クレールが先週水曜日に88歳で亡くなったそうです。ある種国民のヒーローのご母堂ですから、ファンの人々には国民的悲劇と見ている人もいるようです。
 ポップ・フランセーズの40年史を書いていた時も、どこかでこの人は外してはまずいのではないか、という重圧があったのですが、どこかで入れよう、どこかで入れようと思いながら、遂に入れませんでした。考えてみたら、この人のレコードはほんの数枚のシングル盤しか持っていないのでした。LPは1枚だけ『ロックンロール・アチチュード』を持っています。CDはライヴもので95年の"LORADA TOUR"のジッポー・ライター型金属ケース入りを持っています。パフォーマーとしては認めても、アーチストとしてどうなんだろうか、という疑いがあって、やっぱり私には苦手な人なんですね。サルコジのダチでもありますし。
 そのジョニーが11月12日に新しいスタジオアルバムを出すのですが、ステーツ録音の「ブルース・アルバム」だそうです。目玉はU2のボノが2曲も提供しているんですね。ボノとは古くからの友だち(なんか罠にはまりそうな言葉ですね。サルコジの「友だち」がボノの「友だち」でもある、ということが可能なのは、「友だち」ではなくて「知り合い」程度のことでなければありえないことでしょう)で、モナコ滞在中にボノが会いに来て、I want to write you a blues, man と言ったんだそうです。その曲は"I am the blues"というタイトルの英語曲で、今度のアルバムのハイライト曲になるみたいです。
 ブルースの巨人ジョン・メイオールとタージ・マハール(故キャロル・フレデリックスの兄)や、フランスのブルースギタリスト、ポール・ペルソヌなども参加しているそうです。またフランシス・カブレルの91年ヒット『サルバカンヌ(吹き矢)』のカヴァーもやっているそうです。
 ここまではいいんです。この他にこのブルース・アルバムのために参加や曲提供を要請していた人たちがいて、それを拒否した人たちの名前を見てちょっとびっくりしました。ライ・クーダー、 BBキング、そして.... ベルトラン・カンタ。これは「友だち」の罠です。ベルナール・クーシュネールを外務大臣にしたサルコジと同じ戦略です。当人が拒否したのは当然としても、ベルトラン・カンタを「抱き込もう」という魂胆は、許せないものがあります。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

タイトルの踏まえはシェリー・フェブレーですか? だとすれば今では高級すぎます。

アリデー先生は僕には永ちゃんとかぶります。カリスマ、パフォーマ、曲も結構感心する。でも、たとえばあの情けないブライアン・イーノとか、名前からして弱のジャクノの方が心のなかで火花を散らすのはなぜでしょう。フランスから帰る飛行機でジョニーのパラレルワールド映画『ジャン・フィリップ』を見てたらすっかり夢中になってしまったことがあります。あれ、日本語字幕盤のDVD出ないかな。みんなで見たい。

「知り合い」と「友人」の問題は難しい。「恋人」と「友達」の境界より深刻かも。僕はおじさんを「師匠」だと思っていますが「若い友人」だと思われていたら嬉しいです。「若い」はあつかましいか。

匿名 さんのコメント...

なんかひっかかっていたのですが、さっき突然の天啓がありました。タイトルは、ピアフの曲名ですね。それでも高級だとは思いますが。

匿名 さんのコメント...

私は北島三郎あたりとかぶります。
スポーツ選手や政治家とつながっていて
所得隠しが発覚した時も、そんなに叩かれなかったし。
コマーシャル、TVドラマ、舞台、と幅広く活動していることや
息子も親の七光りか、ロック歌手やってるところなど
アリディーのうちに似ている。・・・ってなんでこんなに
サブちゃんのこと知っているの?=私。

Pere Castor さんのコメント...

 かっち。さん,さなえもん,コメントありがとうございました。私の問題というのはU2のボノという人への見方というのもあって,『ジョシュア・トゥリー』の頃まで私はちゃんとU2のリスナーであったのに,それ以降は何も聞いていない。知らない間にボノは大変なスーパースターになっていて,政治的にも大変影響力を持つ人になってしまいましたよね。ボブ・ゲルドフと同じくらい聖人に近くなっているではないですか。ノーベル平和賞候補にもなっているし。
 ただボノに関してもジョニーに対するのと同じ問いが私にはあるわけです。音楽アーチストとしてこの人はどうなんだろうか,と。
 ジョニー・アリデイはもはやフランス人のメモワール・コレクティヴに40年以上鎮座しているモニュメントですから,転びようがないですけれど,ボノってまだその高みに達していないような気がします。ボノはこの先失脚する可能性ありますよ。