マッシリア・サウンド・システム『ワイと自由』
Massilia Sound System "OAI E LIBERTAT"
マッシリアが10月1日リリースの新スタジオ録音アルバムを送ってきてくれました。『オクシタニスタ』から5年,20周年ライヴ盤から3年,ずいぶん待たされましたが,マッシリアのそろい踏みはやはりずっしり重いものがあります。
3つの分科会活動(タトゥーとブルーの「ムッスーT&レイ・ジューヴェン」,ジャリの「パペー・J・ドットコム」,ガリとリュックス・Bの「ワイ・スター」)というマッシリアの開かれた可能性(タトゥーのフォーク〜シャンソン・マルセイエーズ的志向,ジャリのエレクトロ・ラガ趣味,そしてガリ&リュックスの苛立ちロック傾向)を,統合的に閉じるのではなく,開きっぱなしでコラージュしたようなせめぎ合いもスリルもあるアルバム。総合的にはやっぱりタトゥーのリーダーシップが最後にまとめている感じです。ガリ&リュックスの暴れん坊ぶりも,ジャリの浪曲語り節も,タトゥーのレイジーブルース(7曲め "Ton balanle")も,3者揃えば,ジョン,ポール,ジョージのいるビートルズの味わいでしょうか。このアルバムはどこかアルバム『ゲット・バック』を思わせるものがあります。
10曲めの『大恐慌』は19世紀のマルセイユ詩人ヴィクトール・ジェルーの歌を取り上げていて,マルセイユの反中央集権的なエスプリが蛮歌風に表現されています。こういうプロヴァンス/マルセイユへのリスペクトが,マッシリアのアイデンティティーであり,もう4半世紀もそれを貫いてきた気骨は,やはり時々前線に帰ってきて見せてほしいものです。
もうMyspace( myspace.com/massiliasoundsystem )で公開されている1曲めの『マッシリア・ファイ・アヴァン(マッシリアは前進する)』は,「子供たち,安心しなよ,おっさんたちは帰ってきたで」のようなマニフェスト曲です。
それから6曲めの『マイクが壊れた Lo micro es romput』では,もうマルセイユ風ラガマフィンは歌わない(マイクが壊れたから)と寂しいことを言っていますが,挿入されるメロディーが「ワルシャワ労働歌」で,どこか年寄りっぽく感傷的です。
いずれにしても『オクシタニスタ』の多彩さに比べれば,ずっと音数も少なく,サウンドのアルバムと言うよりはずっと「歌」のアルバムです。歌いたいことが前面に出たアルバムと言いましょうか。あと数日かけて歌詞を訳したら,どこかに発表しましょう。
<<< Track List >>>
1. Massilia fai avans
2. Rendez-vous a Marseille
3. De longue
4. Oai e Libertat (Tati N'inja reviendra)
5. Toujours (... et toujours)
6. Lo Micro es romput
7. Ton Balanle
8. Au marche du soleil
9. A l'agonie (part 2)
10. Lo grand tramblament
11. Dimanche aux goudes
12. Laissa nos passar
CD Adam/Wagram 3126732
フランスでのリリース:2007年10月1日
(↓)「マッシリア・ファイ・アヴァン」オフィシャル・クリップ
Massilia Sound System "OAI E LIBERTAT"
マッシリアが10月1日リリースの新スタジオ録音アルバムを送ってきてくれました。『オクシタニスタ』から5年,20周年ライヴ盤から3年,ずいぶん待たされましたが,マッシリアのそろい踏みはやはりずっしり重いものがあります。
3つの分科会活動(タトゥーとブルーの「ムッスーT&レイ・ジューヴェン」,ジャリの「パペー・J・ドットコム」,ガリとリュックス・Bの「ワイ・スター」)というマッシリアの開かれた可能性(タトゥーのフォーク〜シャンソン・マルセイエーズ的志向,ジャリのエレクトロ・ラガ趣味,そしてガリ&リュックスの苛立ちロック傾向)を,統合的に閉じるのではなく,開きっぱなしでコラージュしたようなせめぎ合いもスリルもあるアルバム。総合的にはやっぱりタトゥーのリーダーシップが最後にまとめている感じです。ガリ&リュックスの暴れん坊ぶりも,ジャリの浪曲語り節も,タトゥーのレイジーブルース(7曲め "Ton balanle")も,3者揃えば,ジョン,ポール,ジョージのいるビートルズの味わいでしょうか。このアルバムはどこかアルバム『ゲット・バック』を思わせるものがあります。
10曲めの『大恐慌』は19世紀のマルセイユ詩人ヴィクトール・ジェルーの歌を取り上げていて,マルセイユの反中央集権的なエスプリが蛮歌風に表現されています。こういうプロヴァンス/マルセイユへのリスペクトが,マッシリアのアイデンティティーであり,もう4半世紀もそれを貫いてきた気骨は,やはり時々前線に帰ってきて見せてほしいものです。
もうMyspace( myspace.com/massiliasoundsystem )で公開されている1曲めの『マッシリア・ファイ・アヴァン(マッシリアは前進する)』は,「子供たち,安心しなよ,おっさんたちは帰ってきたで」のようなマニフェスト曲です。
それから6曲めの『マイクが壊れた Lo micro es romput』では,もうマルセイユ風ラガマフィンは歌わない(マイクが壊れたから)と寂しいことを言っていますが,挿入されるメロディーが「ワルシャワ労働歌」で,どこか年寄りっぽく感傷的です。
いずれにしても『オクシタニスタ』の多彩さに比べれば,ずっと音数も少なく,サウンドのアルバムと言うよりはずっと「歌」のアルバムです。歌いたいことが前面に出たアルバムと言いましょうか。あと数日かけて歌詞を訳したら,どこかに発表しましょう。
<<< Track List >>>
1. Massilia fai avans
2. Rendez-vous a Marseille
3. De longue
4. Oai e Libertat (Tati N'inja reviendra)
5. Toujours (... et toujours)
6. Lo Micro es romput
7. Ton Balanle
8. Au marche du soleil
9. A l'agonie (part 2)
10. Lo grand tramblament
11. Dimanche aux goudes
12. Laissa nos passar
CD Adam/Wagram 3126732
フランスでのリリース:2007年10月1日
(↓)「マッシリア・ファイ・アヴァン」オフィシャル・クリップ
3 件のコメント:
帰宅途中のカーステの中でじっくり聞きましたら,たしかにバラバラの印象がありました。タトゥーがリーダーシップ取っているのではなく,ガリ・グレウがなんとかバンドをつなぎ止めているような危機的な感じも聞かれました。手にして2日めのベストトラックは3曲めの"De longue"と6曲めの"Lo Micro est romput"で,どちらもガリ・グレウ中心の曲です。タトゥー中心のアルバムタイトル曲"Oai e Libertat"(ワイと自由)も「いつものマッシリア」を感じさせてくれる力強さが救いです。
明日になれば違った印象も出てくるかもしれません。昨日はちょっとつらかったです。「マッシリア自身がマッシリアをなつかしがってどうするんだ!」という「末期感」をぬぐい去って欲しいものです。
聞けば聞くほど不安になってきました。「前進するマッシリア」(Massilia Fai avans)の「ファイ・アヴァン,ファイ・アヴァン」は, fire burn, fire burnと聞こえるけれど,これでいいのでしょうか。昨日まつやまさんに見本盤を送ったのですが,早く識者のご意見をうかがいたいものです。マッシリアってこんなんじゃなかった,という気持ちが強くなってきました。
9月18日,『ワイと自由』の日本配給が決まりました。2週間前のやや不安な印象が,これでちょっとぬぐわれました。さあ,がんばって歌詞訳をしていきましょう。
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