2007年8月1日水曜日
白銀は招くよ
8月になってしまいました。さっきまで91年ステファン・エシェール『エンゲルベルク』の調べものをしていて、このアルバムの最初の曲"Wake up"(目覚めよと呼ぶ声が聞こえ、なんて訳したくなります)のイントロに聞こえるハックブレット(ツィンバロム、ハンマーダルシマー)について、ネット上のあちらこちらで読んでおりました。いい音ですよね。ホルンとハックブレットとヨーデル、というのが私たちの耳になじんだアルプス〜チロルの音楽のステロタイプですね。「ハイジ〜〜〜〜」と声が聞こえてきそうな、ね。
ステファン・エシェールが都市部のスタジオで録音するのを嫌って、このスイスの山中のスキー場町エンゲルベルク(「天使の里」と訳せます)のカジノを借り切って、仮説スタジオにしてこのアルバムを録音します。(これが成功したので、その次はオクシタニアの城壁町カルカッソンヌのホテルで同じことをします)。今まで行ったことのないところへ急に移動したような感覚をデペイズマンと言いますが、『エンゲルベルク』はそういうデペイズマンを空気の清涼さみたいなもので感じさせてくれるアルバムでした。ハックブレットのアルバムが欲しくなったので、いろいろネットで探したのですが、こういう観光ものはフランスのアコーディオンと同じような趣味のジャケになりますねえ。
それからエシェールのフランス語作詞をしている作家のフィリップ・ジアン(Philippe Djian)は、日本で訳されているのがベネイックス映画の原作の『ベティー・ブルー』だけなのでしょうか。その訳本の作者名が「フィリップ・ディジャン」になっていました。やっぱり全然知られていないのですねえ。
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