2018年11月20日火曜日

2018年のアルバム その2「ラヂオが気がかり」

ラヂオ・エルヴィス『セ・ギャルソン・ラ』
Radio Elvis "Ces Garçons-La"

郎3人、うち2人がメガネ。エルヴィス名乗るくらいなのでロック。ただし歌はフランス語。文化系の佇まい。エルヴィスと言うよりは、22歳夭折のバディー・ホリー(1936-1959)に近いルックス。この場合コステロというオプションもありか。それでラヂオ・エルヴィスなのか?という説もあながち...。ピエール・ゲナール(vo, g)、マニュ・ラランボ(b, g)、コラン・リュセイユ(dms, kbd)のトリオであるが、2009年にラヂオ・エルヴィスの名でステージに立っていたのはピエール・ゲナールひとりだった(トリオになるのは2013年)。つまりこのピエール君のコンセプトで始まったというわけだが、彼はパリに出てくる前はフランス西部(ポワチエ、ナント...)でスラムをやっていた。ポエトリー・リーディング。詩少年だったのだ。当然文学寄り。その影響の源はジャック・ロンドン、ジョン・ファンテ、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリだという。
 文学寄りフレンチ・ロックと言えば、2015年に爺ブログが絶賛したフ〜!シャタートンが旗手みたいな存在で、無頼&ロマンティスムのほとばしりが強烈だったのだが、メガネのラヂオ・エルヴィスはそれに比すればずっとクール&哀愁に聞こえる。2013年からバンドとなって、レ・ザンロキュプティーブル誌や国営ラジオFRANCE INTERの新人コンテストで世に知られるようになった頃は、若くてやせっぽちの(学生もどき)ロックで女子ファンたちが多そうなスタイリッシュさだった。2016年4月1日にリリースされたファーストアルバム "LES CONQUETES"は、2017年のヴィクトワール賞(新人アルバム部門)を受賞、その受賞セレモニーでのパフォーマンスがこれ(↓)。

こんな感じなので、このバンド(ひいてはピエール・ゲナール)はドミニク・ア〜バシュングの直系後継者のように言われるようになるのだが、どうだか...?
 2018年11月、早くもセカンドアルバム『セ・ギャルソン・ラ』の登場。新人賞荒らしの年月を追い払うような「大物感」を伴って。青臭い学生っぽかったピエール・ゲナールも30歳になったのだから。疾走型青春ロックは4曲め "Fini Fini Fini”、ドラマティック疾風怒濤巨編は5曲め "Prières perdues"、とレンジの広い多彩な表現の11トラックだが、全体の印象はエレガントでダンディズムも香ってくる。6 - 7 - 8 - 9 - 10 - 11曲はノン・ストップで聴きたい、尻上がりクレッシェンドの佳曲ばかり。そしてこの若き日の告白のようなタイトルソングがある。
それは普段と変わらない夏だった
この野郎たちは優しく
気の利いた言葉をいつも見つけてくれた
そして僕は隠れてそれを書いていた

この野郎たちは
この野郎たちは
この野郎たちは

娘たちは苦い味がした
僕はそれが怖くて吐いてしまうほどだった
この野郎たちはうまくそれができたのに
僕は語る言葉もなかった

この野郎たちは
この野郎たちは
この野郎たちは

予期せぬ攻撃が雨あられとなって降ってきた
この野郎たちは猛々しかった
暴力はたわむれごとで
この簡単そうな少年を捕まえた

そいつを捕まえろ
そいつを捕まえろ
そいつを捕まえろ

ある日この野郎たちが僕を追ってきた
彼らのオートバイが爆音を上げ
怖さで僕の目は真っ赤になった
この野郎たちが僕を走らせた 
僕の頭の中はひとつの考えしかなかった
その女の子にタッチして、そして逃げ出すこと
僕がどんな男になるのか彼らに見せること
僕はただただそこから脱出したかったんだ

この野郎たち
この野郎たち
この野郎たち 

そして僕はありったけの声で叫んだ
でも四方の壁には耳なんぞありはしない
僕の両親はその場所で子供が落とし込められたことなど
知るはずもなかった

その場所で
その場所で
その場所で

そして僕は決して忘れることができない
この野郎たちの顔が
そして僕は決して忘れはしない
僕が普通の男の子だったってことを

僕はその普通の男の子だった
物語を書くのが好きな
約束するよ、僕はきみたちのことを決して忘れない
僕はその普通の男の子なんだから 
約束するよ、僕はきみたちのことを決して忘れない
僕はその普通の男の子なんだから

その男の子
その男の子
その男の子
("Ces Garçons - là)

歌詞を訳すだけで、胸が痛く熱くなる。この少年の傷を、こんな音楽にできるのだ、このラヂオ・エルヴィスは。 そしてそのクリップが、このなんとも美しい南西フランスの青年田舎闘牛士たちのスロー・モーション。恐れ入りました。表彰状ものです。


<<< トラックリスト >>>
1. 23 minutes
2. Ce qui nous fume
3. L'Eclaireur
4. New York
5. Fini fini fini
6. Prières perdues
7. Bouquet d'immortelles
8. La sueur et le sang
9. Selon l'inclinaison
10. Nocturana
11. Ces garçons - là

RADIO ELVIS "CES GARCONS-LA"
LP/CD LE LABEL / PIAS LL113
フランスでのリリース:2018年11月9日

カストール爺の採点:★★★★☆

(↓) "23 minutes" (オフィシャルクリップ)

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