2011年4月22日金曜日

てぇえんだ!てぇえんだ!


 『セルジュ・ゲンズブール庭園』は、その歌「リラの門の切符きり」(Le poinçonneur des Lilas)に因んで、パリ19区と20区とセーヌ・サン・ドニ県レ・リラ市の境界にある「リラの門」(Porte des Lilas)に作られました。これは19世紀にパリ防御のために作られた環状城壁に設けられた17の門のひとつでしたが、第一次大戦後に城壁は取り壊され、1973年からは城壁跡にパリ市をぐるりと囲む環状自動車道「ペリフェリック」の出口のひとつとなっています。ゲンズブールの歌に出てくる地下鉄ポルト・デ・リラ駅は、1921年に地下鉄3号線の駅として開設され、1935年には11号線も通り、両線の乗り換え駅としても機能します。
 21世紀になって、騒音防止のためにポルト・デ・リラ地区を通る環状自動車道ペリフェリックに屋根をかけてトンネル化してしまいました。そのトンネルの屋根の上に造園されたのが、このセルジュ・ゲンズブール庭園です。つまり元々土地があったところではなく、自動車道トンネルの上に盛り土して作られたものです。これをテレラマ誌はレ・リラとパリの間の「ノーマンズ・ランド」と表現しています。
 ペリフェリックというものがこんなに面積のあるものなのか、と驚くほどの広い空間です(1.4ヘクタール)。芝生も歩道も植え込みも中央部は幾何学的な線引きですが、周囲は自然を模した植物と樹木が混在し、池や橋もあります。連続性がないところがポストモダンでしょうか。子供たちのための遊戯グラウンドやバスケットボール・コートもあります。ベンチの他に日光浴用の木製サンデッキもあります。 
 私が行ったのが木曜日の夕方(午後7時頃)だったせいか、それともできたばかりで人が知らないせいか、人はまばらでした。初夏を想わせる気温25度の好天でも、こんな閑散とした状態なのはちょっと意外。土曜日曜はどんな状態なのでしょうか。
 私が写真撮っていたら、仲間たちと遊んでいたひとりの少女が近づいてきて「あんたツーリスト?」と聞いてきました。「いや、私はゲンズブールのファンなんだよ」と答えると、誰それ?っていう顔されました。そんなもんかもしれませんね。
 土地柄、遊んでる子たちは19区っ子/20区っ子と郊外っ子で、色さまざまで元気です。散歩や日光浴してる大人たちも色さまざまですね。Couleur Café なんて歌が頭をよぎりました。
 この先,ここに名画座映画館が加わるそうです。そう言えばルネ・クレールの1957年の映画に『リラの門』(ピエール・ブラッスール主演)という作品があり、ジョルジュ・ブラッサンスがアナーキスト歌手役で準主役になってました。それに合わせて小ジャレたカフェ・スタンドなんかもできるんでしょうか。あんまりソフィスティケートされてほしくないですね。
 今の季節なので、こんな風に、その名の通り、リラの白い花も咲いてたりします。

LE JARDIN SERGE GAINSBOURG
Paysagiste : FRANCK MATHE
Porte des Lilas 75019 Paris

 

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