2020年1月26日日曜日

マクロンのせいでお先マクロン

"A cause de Macron"
『マクロンのせいよ』

金法改悪反対闘争は既に2ヶ月、同時多発市民蜂起運動「黄色いチョッキ」は既に1年と3ヶ月、フランスは絶対に後に引かない辛抱強い抵抗を続ける市民たちが街頭を埋め続けています。2017年5月に共和国大統領に就任したエマニュエル・マクロン(42歳)とその議会与党である"前進する共和国党”(La République En Marche = LREM)は、リベラル経済まっしぐらの本性を丸出しにして、富裕税を廃止し社会保障費を切り詰めるリベラル"改革”を次々に断行してきました。拡大する貧富の差にためりかねた人々が黄色いチョッキを着て、地方幹線道路から市内に入るロータリー(ラウンダバウト)を占拠して抗議し、2018年11月からこのジレ・ジョーヌ運動は全国的にしかも(フランス現代史で経験したことがない)長期に及んで展開されているのです。マクロンとその政府はこの大衆的な市民運動の突き上げに全く譲歩の姿勢を示さず、警察による武力鎮圧で蹴散らそうとしまう。一体どうしたことなのか、マクロンはこれほどまでに傲慢な権力者であったのか、2018年から2019年、私たちはこの大統領と政府の"真の顔”を見せつけられた思いです。そして2019年12月から新年金法案(過酷労働条件などの職業別の特例を廃止して、一律全職業同条件のポイント制年金支給システム)に反対する労組(CGT, FO, SUD...)の大規模ストライキ(国鉄、バス・地下鉄公営交通)を抗議行動の最前面に押し出した長い闘争が始まります。この闘争は世論調査で7割の市民が支持していたのですよ。なぜならこの年金法は、(医学の進歩、寿命の延長、労働環境の"改善"のおかげで)誰でも普通に65歳〜70歳まで働けるという雇用者/経営者/資本家側のロジックの上に成り立っているのです。この抗議運動の中で、大きな話題になったオペラ・ガルニエ座のバレエダンサーたちのストとオペラ座前での抗議バレエ披露がありましたが、このバレリーナたち(現行退職42歳)を65歳まで踊らせようというのがこの法案なのです。鉄道機関士、バス運転手、バレエ/音楽家などフィジカルな芸能アーチストたち、消防士、軍人(!)、警察官(!!!)、土木建築工、あらゆる夜勤労働者、看護婦看護士.... 特例が正当である人たちはたくさんいるのです。
この歌の中にも出てきますが、この新年金法案を準備したマクロン使命の"年金担当長官”、ジャン=ポール・ドルヴォワ(Jean-Paul Delevoye)という男(もともとはシラクお抱えのゴーリスト保守政治家)が、法案国会論議前に、2017年の複数の公務収入の申告漏れがバレてしまい辞任に追い込まれるというスキャンダルもあったのです。

さてこの歌"A cause de Macron(マクロンのせいよ)"は、アルテルモンディアリスム運動の世界的市民団体ATTAC(アタック)が、この新年金法でも男性よりもさまざまな局面で弊害を被るのは女性たちである、という観点から創作した、1987年ヒット曲 "A caus' des garçons(野郎どものせいよ)"の替え歌です。これ強調しておきます、作曲はアラン・シャンフォールです。このオリジナルのシングル盤持ってます(自慢。左写真)し、1988年5月、フランソワ・ミッテランの大統領再選の夜、レピュブリック広場での無料コンサート(ジャック・イジュラン, etc)のステージでア・コーズ・デ・ギャルソンの二人が口パクで歌ってました(それでも群衆に大唱和されるという幸せな思い出。ミッテランは偉大だった)。33年後の替え歌はこんな歌詞になりました。
冗談じゃないわよ、好き放題にはさせないわよ
あんたはわたしたちをバカ(connes)だと思ってるの?
あんたの汚い年金政策は、わたしたちを貧乏に落とし込む

あんたのポイント制年金システムは、不定期の短期就労に適しない
わたしはね、経済的に自立したいのよ
マクロンのせいよ
ファトゥーやマリオンたちのための受給額が減るのは
マクロンのせいよ
わたしたちは大幅収入減
あんたにどんなふうにそれを言えっていうの?
マクロンのせいで

わたしたちは"革命を!”と叫ぶのよ
マクロンのせいよ


ジレ・ジョーヌモードでがんばってる
彼女たちのことを思うと落ち込むわ
わたしたちをうやうやしく持ち上げるのは苦難だけ
子供たちのために骨を折るってことには
1サンチームの価値がないって、信じられないわ
あんたは絵空事をつくってりゃいいわ
だけど、わたしたちの流儀、それは闘争なのよ
マクロンのせいよ
ブラックロック がわたしの金を巻き上げていく
それがあんたの言う"キャピタリザシオン"(資本運用)よ
マクロンのせいよ
わたしの片割れが死んだら、年金受給額がガタ減りするなんて

マクロンのせいよ
わたしたち、お金がどんどん減っていくのよ
マクロンのせいよ

(ラップ部分)
みんなマクロンと彼のチームのせいよ
とりわけ働く女たちを苦しめるのは
APL(住宅手当)、失業、収入不安定
昔も今も苦しむのは女たち

みんなマクロンと彼のチームのせいよ
ドルヴォワも、そのあとのピエトラスゼフスキーも
なんなのよ、この問題人物は、もうたくさんよ

こんなろくでなしばかりの行列なんて

マクロンのせいよ
わたしたちはドルヴォワみたいにいくつも職持ってるわけじゃないのよ
マクロンのせいよ
女たちは男たちよりもずっと圧迫されているのよ
マクロンのせいでわたしたちは"革命を!”と叫ぶのよ
マクロンのせいよ
(↓)「マクロンのせいよ(A cause de Macron)」クリップ



 アタック(ATTAC)のサイトはこの歌のヴィデオ・クリップを12月中旬に発表。同時にデモ&集会でのこの歌の振り付け(コレグラフィー)の指導ヴィデオ。そして衣装はフェミニズム運動のアイコン、ロジー(We Can Do It!)と同じ青いつなぎの作業着、頭には赤に白水玉のスカーフ、黄色い手袋と指定したのでした。それ以来、この「マクロンのせいよ」の歌と踊りは瞬く間にフランス全土に広がり、各地の年金法反対デモ行進で、青装束のお姐さんたち+ブラックロック他の国際大資本の黒の幟(のぼり)(歌の最後にお姐さんたちにやっつけられる)の定番エンターテインメントになったのでした。女性たちが吹かせる新しい風、長く厳しい闘争にも「お祭り気分」も!がんばれ、支援しますよ。

(↓)1月24日、パリ東駅でのフラッシュ・モブ「マクロンのせいよ」


(↓)1月16日、AFPのYouTubeが伝える「マクロンのせいよ」の全国波及。

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