ブログ『カストール爺の生活と意見』が2019年に掲載した54件の記事から、ビュー数統計の上位10件を紹介する「レトロスペクティヴ2019」です。2019年の年間ビュー数は46000ほどで、2017-2018年のおおいに疑わしい連続10万越えの2年間から打って変わって、落ち着いたわがブログらしい数字でした。つまり、ちゃんと「人間」(ロボットビジターではなく)が読んでいる数字だと思います。2019年発表の記事で1000ビューを超えたものはありません。これがわがブログの実力だと思っています。

映画はかなりの本数を見たように思ってますが、残念なことに私にはこれという一本が出てこないです。小説はこのブログではなくラティーナ誌2019年11月号で紹介したアメリー・ノトンブの『渇き(Soif)』が最も印象に残っています。ノトンブを絶賛するようになるとは(!)、月日の流れだけでなく、私も変わってきたのでしょう。しかしゴンクール賞がノトンブには行かず、ジャン=ポール・デュボワ『すべての人間が同じように世界に生きているのではない』であったというのもとても納得できるのです(爺ブログ記事に書いてあります)。パトリック・モディアノの新作『不可視インク』も素晴らしかった。2019年はわが読書は近年になく充実していたと思います。
さて、2020年、闘病生活4年目に入りました。仕事していた頃の対人ストレスがなくなったことがどれだけメンタルを楽にしているか、顔も言葉も良い方に変わってきてるんじゃないか、と自覚できるようになっています。身体は良い時もあれば良くない時もある、これは健康な人とて同じこと。時間がもっとゆっくりであってほしい。もっとゆっくり。人や世間の動きに追い越されるのはかまわないので。私もゆっくり行きますので、今年も爺ブログ、よろしくおつきあいください。

1. 『必殺セロト人』(2019年1月29日掲載)

2. 『ボワット(ノワール)生きてんじゃ... 』 (2019年5月14日掲載)

3. 『Happy End』 (2019年9月20日掲載)
ラシッド・タハ(1958-2018)の遺作アルバム『アフリカン(Je suis Africain)』の紹介記事でした。1987年に「アーノルド・キアリ病」と診断され、それ以来さまざまな障害と闘っていたが、このアルバムを作った頃はボールペンも持つことができず、相棒のトマ・フェテルマン(ラ・キャラヴァン・パス)が聞き取りでその作詞を書き取った、と。そういうよく知られていないことを、爺ブログは少しでも多くの人に知らせたい。そんな状態で、なんでこんなすごいアルバムができるのか、それがこの傷ついた天使の創造力でしょう。本当に悼ましい。合掌。
4. 『聖アニェスのために』 (2019年12月6日掲載)

5. 『シュヴァルしい人生さ』(2019年1月22日掲載)

6. 『アバターもえくぼ』 (2019年3月1日掲載)

7. 『Carry that weight a long time』(2019年4月5日掲載)
爺ブログでほぼ全作品紹介しているアキ・シマザキの最新作で、五連作サイクル《アザミの影( L'Ombre du chardon)》を閉じる小説『マイマイ』。この五連作は現代日本の家族、性、ビジネス、地方、貧富、外国人など様々なテーマがショーウィンドウのように"非日本人”にわかりやすいように展示されたような作品群でしたが、どれも深さがなく残念な思いで読み終えました。次の五連作は盛り返してください。次作はフランスでの刊行が2020年4月予定(ケベックでは2019年9月に発表済み)の『スズラン』という小説です。女性陶芸家(あれま!)が主人公です。また、必ず爺ブログで紹介します。
8. 『プリティー・シングスとサン・トロペ』 (2019年7月4日掲載)
ラティーナ誌2019年8月号に、サン・トロペの超セレクトなビーチ・クラブ「エピ・プラージュ」の栄枯盛衰記事を書いた時にぶつかった、「エピ・プラージュ」オーナーの”バカ息子”のロック・スターでっち上げのストーリー。コート・ダジュール金満接待と高純度ドラッグに拐かされて、その手助けをする英国サイケデリック・バンド、ザ・プリティー・シングス。その音楽よりも"バカ息子”のあの手この手の方がずっと面白い、虚飾のサン・トロペの光と影。2019年8月、私たち家族は夏ヴァカンスでサン・トロペ、パンプロンヌ・ビーチ「エピ・プラージュ」も見てきましたが、貧乏人には縁のない世界でして。
9. 『モン・デュー、モン・デュー... 』(2019年2月22日掲載)
世界のカトリック教会内で多数起こっている聖職者によるペドフィリア事件は、来日してにわかファンを増やしている法皇フランシコにはたいへんな頭痛の種でありましょう。フランソワ・オゾン監督(ほぼ)初の社会派映画は、80年代にリヨン司教区で多くの子供たち(百件を超える)を被害者にしたブレナ司祭による児童性虐待に関して、タブーを破って長い年月をかけて告発、裁判に訴えた人たちの闘いを描いたもの。争点はブレナ司祭を配下に置く教区責任者のバルバラン枢機卿が、信者たちの告発を無視してブレナを庇護していることであり、ひいてはそれを認めているバチカン法王庁の責任でもあります。ノートル・ダムはその天の怒りで燃えたのかもしれません。
10. 『ジェーンBと東日本大震災』(2019年11月3日掲載)
ジェーン・バーキンの極私的日記の下巻『ポスト・スクリプトム(1982-2013)』の記事(ラティーナ2019年12月号)に関連して、ジェーンが2011年3月の東日本大震災の直後、いてもたってもいられなくなって日本に来て、ほぼ即興で被災者支援コンサートを開いていった経緯を記した部分を日本語訳した爺ブログ記事。日本との縁を大切にしている人であり、人道問題や社会的事件になると躊躇なく行動してしまう人。 2019年はジェーン・Bとアニェス・Bという二人の行動人Bにおおいに敬服し、教えられたものが多かったと思っています。トータル・リスペクト!
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