『配達夫シュヴァル』
"L'incroyable histoire du Facteur Cheval"
2017年制作フランス映画
監督:ニルス・タヴェルニエ
主演:ジャック・ガンブラン、レティシア・カスタ
フランス公開:2019年1月16日
結末部分から言います。完成した「理想の宮殿」の前で、孫娘アリスが結婚披露宴を上げます。そこでミュゼット楽団がワルツを奏で、アリスと新郎ほか参列者がワルツを踊ります。そのミュゼット楽団でディアトニック・アコーディオンを弾いているのがマルク・ペロンヌその人です。
監督ニルス・タヴェルニエは言うまでもなく、大監督ベルトラン・タヴェルニエの息子です。そのベルトラン・タヴェルニエの私にとっての最高傑作が『田舎の日曜日』(1984年)です。 その最高の場面が娘(演サビーヌ・アゼマ)と父(演ルイ・デュクルー)がガンゲットでワルツを踊るシーンです。そのミュゼット楽団で弾いていたのがマルク・ペロンヌです。35年の時を超えて、父と息子の映画でマルク・ペロンヌがワルツを奏でているのです。難病(嚢包性繊維症)で体の動かなくなったマルク・ペロンヌが映画の画面に35年ぶりに現れます。これだけでこの映画はありがたいです。
物語は郵便配達夫ジョゼフ=フェルディナン・シュヴァル(1836-1924)が理想の宮殿をたったひとりで建造する話です。シュヴァルを演じるジャック・ガンブラン(私の大好きな俳優です)は 対人恐怖症のところと狂気を孕む信念のところが、イッセー尾形演じる昭和天皇と極似しているところがあります。妻フィロメーヌを演じるレティシア・カスタはいつもながら美しいのですが、超貧乏郵便配達夫の妻にしては栄養体格十分なところが残念でした。ジャック・ガンブランは極痩せでしたから。
理想の宮殿が狂気の産物であったところよりも、郵便夫シュヴァルの偉人伝にしてしまっているところがこの映画のたいへんな弱点です。もっと狂気を、と願ってしまった私です。
カストール爺の採点:★★☆☆☆
(↓)『配達夫シュヴァル』 予告編
(↓)他人様投稿のYouTubeですが「配達夫シュヴァルの理想宮」の概要です。
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