2007年8月14日火曜日

Les choses de la vie (すぎ去りし日の)



 「あとがき」原稿にクロード・ソーテ映画『すぎ去りし日の(Les Choses de la vie)』(1970)のことを書きました。自動車事故で死ぬ直前に,男ピエール(ミッシェル・ピコリ)が別れようか和解しようかと迷っていた恋人の女性エレーヌ(ロミー・シュナイダー)を,死の床の回想の中で関係を完結するという映画でした。主題歌「エレーヌの歌」は私のようなおセンチ族にはカルト的な人気のある傑作で,このロミー・シュナイダーの歌声が聞こえてきたら,寝室に走っていって,枕に顔をうずめておいおい泣くしかない,そういう魔力を持った歌です。
 この日本題はいいですね。「すぎ去りし日の」の「の」で終わるというのが利いてますね。まさの,きくの,ちよの,あやの....「の」で終わる女性の名前の持つ優しい日本情緒に通じるものでしょうね。わが家の犬様の名も「の」で終わるのですが,ドミノはオス犬だったのに幼くして去勢手術をされて,女性的日本情緒を持つようになりました(うそです)。
 ふびんにも後天性テンカンという病気を持っているドミノ君は,毎日薬を服用しているものの,季節の変わり目ごとに1〜2回必ずテンカン発作を起こします。発作を誘発させる主原因はストレスである,と獣医先生に言われました。日々の生活これストレスという状態は人間も犬も一緒です。あれをしてはいけない,これをしてはいけない,といういろいろな禁止事項を要求されるマンション飼いの犬ではなおさらです。それを助長するように,飼い主の私が違うストレスを与えてしまったようなのです。
 この夏は6月に1回,今朝1回と2度の発作を起こしました。私が原因だと奥様は言います。6月には突然私が「猫を飼おう」と家族に提案したのです。家族は反対しなかったのですが,ドミノ君がそれを受け入れてくれるかが一番の問題でした。そこで私はドミノ君に「猫を飼いたいんだけどどう思う?」「猫と仲良くできる?」「猫にいじわるしない?」「猫フード食べたらだめだよ」「猫はかわいいよ」などと,毎日話しかけてドミノ君のご意見をうかがったのです。私があまりにしつこく「猫」という言葉をドミノ君にくり返したからテンカン発作が起こったのだ,と奥様は言います。それに懲りたのでもう猫というアイデアは捨ててしまいました。
 そして8月には,子犬の頃から室内の遊び相手になっていたクマのプーさんのぬいぐるみが,何度も何度も奥様が繕って直したあげく,いよいよボロボロで見る影もないという状態になってしまったので,その代わりに私は「嫁ほしくない?」「嫁と遊んだら楽しいよ」「嫁を飼ったら仲良くしてくれる?」「嫁は新しいものが一番だよ」と,私は「嫁」という言葉をしつこく言っていたようなのです。奥様の説では今朝のテンカン発作はこれが原因ということでした。
 私はなんて残酷な飼い主なのだ!ドミノ君に大きな精神的ストレスを2度も与えてしまった。以来わが家では「猫」も「嫁」も禁句なのです。

2 件のコメント:

Pere Castor さんのコメント...

 今日通販で頼んでいたDVD"LES CHOSES DE LA VIE"が届いて,さっそく事務所で81分間,真剣に観てしまいました。ロミー・シュナイダーがたくさん出る映画と思っていたのに,思いっきりミッシェル・ピコリの映画でした。69-70年の映画なので,こういうことを気にしてもしかたないのだけれど,みんな続けざまによく煙草吸うなあ...。見ているだけで肺のあたりが痛くなりそうでした。

Pere Castor さんのコメント...

 ポスターに載っているこの自転車二人乗りのシーンですけど、ほんの数秒間しか出てきませんでした。この二人乗りはかなり難しいワザですよね。長時間できるようなものではありません。美しい図ではありますが。