2016年7月11日月曜日

今朝のフランス語:Comme des bleus

 Bleu
- 男性名詞
1. 青、青色 le 〜 du ciel 空の青さ、青空。〜 ciel 空色、スカイブルー。〜 horizon あさぎ色《第一次大戦中のフランス陸軍の軍服の色》。〜 marine ネービーブルー。porter une cravate 〜clair (foncé) 明るい(濃い)ブルーのネクタイを締める。 gros 〜(黒味がかった)濃紺。
2.〔文〕青空。 être(nager) dans le 〜上の空である、空想にふける。n'y voir que du 〜 〔話〕(雲があっても青空しか目に入らない→)何も目に入らない、何も目に入らない、うかうかと騙される。
3. 青色塗料(染料、顔料)。passer une couche de 〜 sur un mur 壁面に青ペンキを塗る。 〜 de Prusse 紺青、プルシアンブルー。〜(d') outremer 群青、ウルトラマリン。〜 (de lessive) 蛍光洗剤。 passer le linge au 〜 下着類を蛍光洗剤で白くする。♦《比喩的》passer au 〜 (職務などを)ごまかす、(物を)くすねる;(金などが)消え失せる。faire passer au 〜 une grosse somme 大金をごまかす。
4. (打身による)青あざ。 se faire un 〜 à la jambe 脚に青あざを作る
5. (上下つなぎの)作業服 (= 〜 de travail)《一般に青い布地》。mettre ses 〜s 菜っ葉服を着る。 être en 〜 青い服を着ている;作業服を着ている;ブルーカラーである。
6. 新兵《青い服を着ていた》;(リセの)新入生;新米 【史】(大革命期の)共和派兵士;(カナダの)保守党員〔rouge 「共産党員」の対〕
                     ー 大修館新スタンダード仏和辞典 ー

 胃薬をいくら飲んだって消えない胃の痛さ。2016年7月10日深夜から11日朝にかけて、多くのフランス人が味わっていた気分。EURO 2016決勝、対ポルトガル戦。負けるわけのない試合。勝負は常に強いものが勝つわけではない、とはわかっていても、その3日前の木曜日にワールドカップの覇者ドイツを破っていたこのチームが。
 7月11日月曜日朝、フランス全国の街角のカフェ、通勤前に立ち寄るいつものカフェのカウンターでは、したってしかたのない話なのだけれど、議論せずにはいられない、あの議論の余地ある試合の話になってしまうのですよ。ああ、これがフランスだもの。
 フランスのほとんどすべてのスポーツでのナショナルカラー、チームカラーは青である。だからフランス選手、フランスチームを応援する時は「青、がんばれ Allez les Bleus」になる。国旗(トリコール、青白赤)のうち、スポーツではどうして青だけが強調されるようになったのかは知りません。
 俗に大革命以来のフランス国標の「自由・平等・博愛」を象徴する色として自由=青、平等=白、博愛=赤が三色旗の意味とされるが、これは正しくない。既にあったパリ市のエンブレムに使われていた青と赤を旗印にパリ市民軍が王党派と戦い、白地に百合の花のブルボン王家の旗印(つまり白)を、両側からはさみ込んだ、つまり白の身動きを止め、王位を失墜させた、というシンボルが青・白・赤の三色旗の由来という話。その青と赤は、パリ由来の二人の聖人、サン・マルタンとサン・ドニの色で、前者サン・マルタンが貧しき者をいたわるためにかけてやった自身のマントの色が青だったという説。赤は殉教者サン・ドニ(キリスト教を禁止したローマ兵にモンマルトルで斬首刑に処されたが、その首を自ら持って北に歩きだしたという話)の血の色。青は慈愛のマントの色、赤は殉教の血の色。並びは青が左、赤が右。
 政治的なカラーとして、青が保守共和派、赤が左派・左翼の意味を持つのはあとになってからのことである。青は保守の色であり、戦後のフランスの保守本道はシャルル・ド・ゴール(1890-1970)が築き上げ、後継者ジャック・シラク(1932 - )1976年に結党したRPR(共和国連合)に発する(何度か名前を変えて継承する)政党が保守第一党のポジションを保っていて、現在はLR(共和党)という名で党首はニコラ・サルコジ(1955 - )である。その何度か名前を変える途中で、2002年、アラン・ジュペ(1945 - )(2016年7月現在、2017年大統領候補の一番人気とされる)が初代総裁となった保守+中道諸政党連合体の大政党の名前を「ラ・メゾン・ブルー(青い家)」としようとする声があったが、実現していない。(アイディアのもとは、青い家が歌われたマキシム・ル・フォレスティエの1972年のヒット曲「サン・フランシスコ」)。
 しかし政局は時と共に変化し、大統領選挙や国政選挙や地方選挙を報道する新聞・テレビで、フランス地図が青色が多くなったり、少なくなったり。わかりやすくてよいけれど、フランスの大部分が青になる時には、私の顔も真っ青になりましたよ。
 という理由もあって、青はあまり好きな色ではない。特にサルコジが大統領だった時代(2007年〜2012年)のフランスの青は...。そして極右FN党で2011年に党首になったマリーヌ・ル・ペンが、自分の名前にかけて、党カラーを bleu marine(ブルー・マリーヌ。ネイビー・ブルー)とした時には、自分の洋服ダンスから濃紺の衣類全部捨てたろか、と思いましたね。

 さて昨夜の延長後110分めに1ゴール取られて敗北したフランス・チーム(レ・ブルー)のことを報じる、7月11日、リベラシオン紙フロントページの見出しです。
Comme des Bleus(コム・デ・ブルー)
なんともふがいないというニュアンスわかりますか、お立ち会い?
成語表現では se faire avoir comme des bleus が元だと思われます。「ブルーのように扱われる(あしらわれる)」という意味になります。この表現は、例えば、犯罪捜査をしている警察が、目前で犯人に犯行を許したり、まんまと逃げられるような時に使われます。この場合のブルーは日本語と同じで、青二才、青臭い未熟者、という意味なのです。上に引用した新スタンダード仏和辞典では(6)の意味です。

 「おまえら、まだまだ青いんだよ!! 」 ー そんなふうな言い方しなくてもいいんじゃないですか? いい試合たくさん見せてくれてありがとう Merci les Bleus !

 
 
 


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