2009年11月7日土曜日

(あまの)ジャクノ



 ジャクノ(本名:ドニ・キニャール)が11月6日ガンで亡くなりました。52歳。
 ジャクノは1976年にエリ・メデロスらとザ・スティンキー・トイズを結成して、フランスのパンクシーンのパイオニアだったのですが、伝説では「安全ピン・ファッション」の元祖と言われています。そのあとエリと二人になってエリ&ジャクノとして3枚のアルバム(そのうちの1枚がエリック・ローメールの映画『満月の夜』のサントラ)を発表しています。
 このスティンキー・トイズからエリ&ジャクノに移行するまでの間に、ジャクノは1979年に1枚のソロアルバムをセルロイド・レーベルから出してます。これが後年フランスのシンセ・ポップのカルトアルバムとなるんですが、そこからのシングルで出たインスト曲「レクタングル」が当時まだ非合法だったフランスの自由FM放送局(言わば海賊放送ですね)でヒットして、さらにスイスのインスタントコーヒー屋(今や多国籍巨大食品コングロマリット)だったネスレに注目されて同社のインスタントショコラ「ネスクイック Nesquik」のテレビコマーシャルスポットの音楽に使われます。このおかげでジャクノのフトコロは大変潤ったと言われています。
 このジャクノ独特のピコピコサウンドは、当時18歳だったポルトガル人少女歌手リオのデビューアルバム(1980年)でも威力を発揮して"Amoureux solitaires"というヒット曲も生んでいます。そして81年にはエチエンヌ・ダオの(不遇の)ファーストアルバム"Mythomane"をプロデュースして、その結果としてダオのセカンドアルバム"La Notte la notte"(1984年)から急激に盛り上がる80年代ポップ・フランセーズ(ダオ、リオ、レ・リタ・ミツコ...)の影の大物のように見られるようになります。
 エリ&ジャクノ解消後、2006年まで6枚のソロアルバムを発表していますが、そのありようはひとことで形容すれば「ダンディー・ポップ」でしたね。

(↓ ジャクノ「レクタングル」)


(↓ジャクノ「レクタングル」をCMテーマにしたNesquikのスポット)

1980 - nesquick
envoyé par fifitou. -

2 件のコメント:

さなえもん さんのコメント...

Elli&Jacnoのベスト「Symphonie de poche」
これは相当聴きました。
エリック・ロメールの「満月の夜」はその後に観ました。
「LES NUITS DE LA PLEINE LUNE」は一番好きな曲です。
曲中、けだるそうに入るジャクノの声が良いのです。
52歳だなんて、まだ若かったのですね。
残念でなりません。悲しいです。

Pere Castor さんのコメント...

はい。さなえもんコメントありがとうございました。国営TVのニュースでもちゃんと訃報が出たので、かなり認知されてる人なんだなあ、と思いました。
この1枚のシンセポップアルバムの他はエリばかりが目立つし、後年のソロは「ダオ風」(これ悪口です)だし。
インスタントショコラNesquickはず〜っと90年代まで同じ音楽使っていたから、あの頃の子供たちはこのピコピコ音楽をMemoire collectiveとして一生忘れないでしょう。それが誰の作品というのを知らなくても。