2009年9月23日水曜日

この人は終わってしまったのだ



 10月号原稿を送った時に(ほとんど思いつきで)「来月号はジェーン・バーキンについて書きますから」とラティーナ編集長にメールしたのです。日本にも行ってましたし。実は映画も音楽もそんなに熱心に見たり聞いたりしたことがありません。本人には一度も会ったことがありません。ライヴはゲンズブール死後にカジノ・ド・パリで一度だけ見ました。芸能ショー的わざとらしさの度が過ぎるような印象でした。ジェーン・Bは何をやってもわざとらしいように見えます。おお,私は悪口を書いてしまいそうだ。ちゃんと資料を集めねば...。
 と思ってピエール・ミカイロフ(元レ・デゼクセのギタリスト。ジャーナリスト。フランソワーズ・アルディ評伝を書いていて,この春は大変参考にさせてもらった。その他ノワール・デジール,バシュングなど著書多し。ほとんど3ヶ月に1冊の割で本が出ているみたいです)のバーキン評伝『シチズン・ジェーン』をフナックのネット通販で注文したら,2週間待ったあとで「品切れのため発送出来ません」の知らせ。そんな...。実際のところ,この本はどこの本屋でも見たことがないし,フナックの通販サイトでは2009年6月に出たことになっているけれど,他の通販サイトでは売っていないのです。
 唐突ですがフェイスブックって使い道ありますね。私はアルディ評伝を読んですぐにミカイロフにフェイスブック友だちの申し込みをしたのですが,即OKでした。で,ミカイロフがそこでフェイスブックで何を言っているのかも注目していましたし,時々ミカイロフの「壁」にちょっかいを入れたりもしてました。だから,この『シチズン・ジェーン』の件は,直接著者にフェイスブックのメールボックス宛に問合せをしたのです。すぐに答えが来て「来年1月刊行予定で準備中」だそうです。
 そこから2往復ぐらいのメールの交信があり,ミカイロフはそのタイトルにも関わらず「市民ジェーン」にはあまり興味がないと書いてきました。私は今「市民ジェーン」にのみ興味があるので,ちょっとがっかりでしたが,彼の興味というのはミケランジェロ・アントニオーニの『ブロウアップ』に現われた衝撃的な少女なんですね。そうかあ,私も『太陽が知っている(LA PISCINE)』(1968)では,アラン・ドロンやロミー・シュナイダーよりは少女ペネロープ(ジェーン・バーキン)ばかり見ていたような気がします。う〜む。ミカイロフの本が楽しみです。(今ミカイロフのバシュング評伝を読んでます。これ,後日ここで紹介します)

 というわけでジェーン・バーキン原稿を無期延期にしたのです。
 ではその代わりに何を書くかというと,カルラ・ブルーニ・サルコジなのです。感情的にならないように自制しないと...。個人的な恨みなどありません。なにしろ個人的には知らないのですから。フランスの少なからぬ人たちが持っているのは,アーチストとしてこの人を支持して「損をした」という市民感情であり,私はそれを共有する者です。この市民感情を敵に回して,この人はアーチストとして続けられるわけがない,と思うのです。極端なことを言えば,「カルラ・ブルーニはエヴァ・ブラウンである」というようなことを私は書こうとしているのです。それもあんまりだなあ....。
 

0 件のコメント: