2009年8月29日土曜日

パパ・ノエルは来なかった



 2009年8月28日。わが家の向かい、セーヌ対岸のサン・クルー公園の晩夏の恒例行事 Rock En Seine に家族で行くようになってから、これで3回目。私たちが行くようになってから、一度も雨が降ってません。これが7回目ですけど、1回めと2回めの時は雨が降っていて、わが家の前を泥だらけになった若い衆がぞろぞろ歩いているのも見て、ああ、ウッドストックっぽいなあ、と思っていたものです。そう言えば今年はウッドストック40周年で、40年かかって「ラヴ&ピースの3日間」はわが家の前までやってきてくれたんだなあ、なんて感慨にふけったりして。入口のゲートをくぐると、私たち中高年夫婦と十代娘の3人連れとわかっていても、おねえさんがスポンサーマーク入りのコンドームをいっぱい手渡してくれるし...。これもラヴですかね。
 昨日も晴れでした。おととしジャーヴィス・コッカーが "Saint CloudにはCloudがない"と英仏語バイリンガルのジョークで受けてましたが、昨日はちょっと雲と風がありました。しかし上々の天気。まず私たちは4時半頃から始まったキーン(from England)を最初から最後まで見ました。ロマンティック&ポエティック。こんなはっきりしたメロディーのポップロックを生で見るのはこれが初めてかもしれません。爺でさえ "Everybody's changing"を唱和できましたから。妻子も大満足で、今年は初めから良いのに当たって、先が楽しみだあ、と期待に胸膨らませておりました。
 場内には今年もいろいろなEXPOがあって、400本のペイントスプレーの缶を400人のアーチストがオブジェにした"400ml"と題されたものがとても面白くて、しばしゆっくり鑑賞してました。食べ物屋もかなり多彩で、おなじみのケバブ屋さん、タルティフィレット屋さん、テックスメックス屋さんに加えて、タイのヴェジェタリアン料理屋や、アンティルのクレオール料理屋さんも。またラマダン期にあたるので、ドライフルーツと砂糖菓子を出すミント・ティー屋さんもありました。
 いろんなところをうろうろして、5時半の回のヤー・ヤー・ヤーズ(from New York)を遠目に見ながら、移動してグランド・セーヌ(メインステージ)の6時半のエミー・マクドナルド(from Scotland)を、持参したパイプ椅子に坐りながら鑑賞。娘お目当ての"This is the life"が終わったところで、移動して奥様お目当てのマッドネスへ。
 いやあ、良かったですねえ、マッドネスは。私たち中高年だけではなく、若い人たちも大変な盛り上がりようで、驚きでした。しかし(往年の、とは言え)ヒット曲の数多いですよね、この人たち。ああ、これもマッドネスだったんだあ、と思い出した曲が次々と。まあ百戦錬磨のショーマンたちですね。脱帽しました。
 というところで、8時になったので、みんな思うことは同じで、どこの料理屋台も夕食を求める人たちの長蛇の列で、私たちは30分待ちくらいでやっとクレオール料理にありつけました。長い間待って食べれば、何食べても皆おいしい、ということでしょうか。まあまあ、いけてました。
 9時を回って、私たちは移動してグランド・セーヌへ。10時に予定されているオアシスを見るための場所取り。ステージをかなり上手の方から見ることになるんですが、サン・クルーの森側にちょっと坂になった芝生があって、そこにパイプ椅子3脚で陣取りました。10時が近い頃にはこの特等席から見るとものすごい数の人たちが集まってきているのがわかりました。今朝のリベラシオン紙の報道では3万人と書いてありました。スタジアム一個分でしょうかね。
 持参した双眼鏡でステージを見ますと、10時を過ぎたというのに、ステージの用意が全然できていないのがわかりました。ローディーたちは立っているだけで、全然作業していない。照明の位置をやり変えたり、マイクスタンドを持って右に行ったり左に行ったり...。10時15分を過ぎても状態は変わらず、これはコンサートができそうにないんじゃないの、と娘と話してましたら...。
 10時25分、オアシスのスポークスマンがステージに出てきてマイクを取り、フランス語と英語で「楽屋でギャラガー兄弟が大げんかをして、今夜オアシスはステージに立てない。詳細はノエルが公式サイトで説明する。バンドはもう存在しない。今夜だけでなく、今後のヨーロッパツアーはすべてキャンセルされる」とスピーチしました。ステージ横のモニター画面には文字で「オアシスのコンサート中止。チケットを捨てないでください。賠償の詳細はフェスティヴァルの公式サイトに」と書かれています。
 笑っちゃいますよね。私たちこれで3度目です。一昨年と去年はエミイ・ワインハウスのどたキャン、今年はオアシス。「このフェスティヴァルは呪われている」と今朝のリベラシオン紙は書いてました。
 さてオアシスに何があったのか、というと、現時点でニュース等で知る限りでは、28日の午後にはサン・クルーの楽屋にちゃんと入っていたそうです。その後、どういう理由でかははっきりしないが、ノエル・ギャラガーとリアム・ギャラガーが激しい喧嘩になってしまい、一説ではギターが炸裂したとも言われています。そしてノエルが楽屋を出てしまい、そのまま帰ってこなくなりました。
 「今夜俺はオアシスを脱退した」とノエルは公式サイトに声明を書き込みました。
 まあ、こういうことはこの兄弟はこれが初めてではないので、と重要視しない論調もあるようです。
 というわけで、この季節なので「パパ・ノエルは来なかった」と嘆いても、それほど悲しくないできごとと、私たち家族は苦笑いしています。

 Rock en Seine 2009には明日30日も行きます。

(↓ワン・ステップ・ビヨ〜〜〜〜ンド!)

2 件のコメント:

さなえもん さんのコメント...

私はオアシスよりもマッドネスが好き!
ワン・ステップ・ビヨンド、やったことでしょうね。
白鳥の湖もやったのかな?
オアシスの最近のライブは過去のヒット曲ばかりやるようになって、客に媚びていた感ありで
「そろそろ終わりじゃないの」と思っていました。
リアムが抜けたら、実質上の解散でしょうね。
頑張れアルシメード。

Pere Castor さんのコメント...

この期間中は夜中の2時すぎまで大音量がわが家まで聞こえてくるのが普通ですが、昨夜(29日)はたいへん静かでした。オアシスのドタキャンで急激に盛り下がってしまったような感があります。(窓から見ている限りでは)
これ、来年の開催が難しいかもしれません。
さて今日はこれから3時のグランド・セーヌの「バーバ・マール」(こんなところにセネガルのバンドなんて、ほんと珍しいです)から、深夜まで川向こうにおります。
フェス開催直前まで正体を明かさなかった匿名バンド"Les Petits Pois"というのがありまして、今日の6時50分に登場です。これは実は Them Crooked Vultures(レッドゼップのあの人と、ニルヴァナ/フーファイターズのあの人と、QOTSA/EODMのあの人が集まったスーパーバンド)なんですね。轟音ロックのファンにはたまらないバンドでしょうが、何も知らない爺でも久しぶりにギターとベースとドラムスが鳴りまくるバンドが期待できそう、と胸わくわくです。