2009年7月7日火曜日
濡れたカラスの羽根のように黒い
Richard Ruin & les Démoniaques "THE HEIMLICH MANOEUVRE"
リヒャルト・ルイン & レ・デモニヤック 『ハイムリッヒ・マヌーヴァー』
ベルリンの人。だから「リヒャルト・ルイン」とカタカナ表記しましたが,定かではありません。アルバムタイトルの「ハイムリッヒ法」というのは,不意に食べ物が喉に詰まったりして窒息状態になった時に,背後から両腕で抱き,胸とへその間に拳を当てて5回ほど思い切り圧迫して,喉に詰まったものを吐き出させる応急救助法のことです。言い得て妙なタイトルで,このアルバムは胸に詰まったものを絞り出すようなヴォーカルがこの人の真骨頂です。
トム・ウェイツ,スコット・ウォーカー,ボウイー,ニック・ケイヴ... 私にはそんなところがすぐに思い出されますが,黒々とした抒情は私たちのバシュングを想わせますし,ダンディーぶるところは私たちのクリストフも。コールドウェイヴ〜ノーウェイヴよりはずっと情念的なギターやストリングスや金管の音がしてますし,どうやらバッド・シーズ,アインツルツェンデ・ノイバウテン,スワンズなどと関わった人たちがバッキングしているようです。バンド名は「レ・デモニヤック」とフランス語です。悪魔に取り憑かれた人々という意味です。はい,怖いですね,怖いですね。
退廃や耽美よりも,抒情の昂りを重んじるような,1曲1曲が丁寧に構成されていて,一級の演歌,一級のファド,一級のお涙モノクロ短編映画を想わせる出来です。私のような泣きものが好きな中高年にはたまらないアルバムです。
<<< トラックリスト >>>
1. LOW
2. LACRIMA
3. THE SCARIEST THING
4. SPEAK A LITTLE SPELL
5. DEEPER
6. MISFORTUNATE
7. POISON
8. DARK EYES
9. THINGS YOU DON'T KNOW
10. NO SORROW
11. JUST BREAKING
12. SOMEHOW
RICHARD RUIN & LES DEMONIAQUES "THE HEIMLICH MANOEUVRE"
CD LE BONBON NOIR LM60441S
制作2006年。フランスでのリリース:おそらく流通されていない。
(↓) RICHARD RUIN "POISON"
その他 YouTube上にニューヨークでのライヴ画像数編公開中。
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