2009年7月1日水曜日
スタジオ盤『リリ・パッシオン』の怪
7月1日号のテレラマ誌(こちら様も表紙はマイケル・ジャクソンでした)で,同誌シャンソン担当のヴァレリー・ルウーが,バルバラ(1930-1997)作,バルバラ+ジェラール・ドパルデュー主演の音楽劇『リリ・パッシオン』にスタジオ録音盤が存在したと書いています。この音楽劇は1986年1月にパリのゼニットで上演され,その模様はダブルライヴアルバム『リリ・パッシオン』として記録されています。しかしこのライヴ盤の前に,1985年秋に『リリ・パッシオン』がスタジオ録音されていた,と言うのです。
この録音に大きく関わった二人のミュージシャンがいます。ひとりはオーケストレーションを担当したウィリアム・シェレール,もうひとりは20年近くに渡ってバルバラの伴奏アコーディオニスト/キーボディストだったロラン・ロマネリ。シェレールはその編曲に至極満足していて,「傑作」と自評するのですが,逆にロマネリはそれを最低と酷評し,その意見の相違のために,バルバラとの20年来のコラボレーションをご破算にして,バルバラと絶交してしまいます。ロマネリ離脱によって,このスタジオ録音はオクラ入りし,ライヴ用のオーケストレーションはスタジオのそれとは全く違ったものになった,ということなんですね。
ヴァレリー・ルウーは,ロマネリとの離別に深く傷ついたバルバラが,この録音をどこかに埋めてしまったもの,と思っていたのですが,実はバルバラが亡くなる数ヶ月前に,バルバラ自身が所属レコード会社にこの録音を探し出して発表するようにと依頼していたことがわかったのです。つまりバルバラの記憶ではこの録音はレコード会社のアーカイヴにまだ残っていることになっているんですね。
その後のことはルウーも知らないそうなのですが,必ずやいつか陽の目を見て欲しいですね。それがアーチストの遺志だったのですから。
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