2007年10月2日火曜日

歌ってクレヨン



 アメリー・レ・クレヨン『ペン軸』
 AMELIE-LES-CRAYONS "LA PORTE PLUME"

 もともとフランス語が原語ですけど,フランス語の crayon は日本語で言うクレヨンのことではなく,鉛筆のこと。だからアメリーさんのことを「くれよんアメリー」と紹介したら誤解になるんですね。「えんぴつアメリー」となります。私はこの les crayonsという複数形を拡大解釈して,たくさんの鉛筆だから色鉛筆ととってもいいんじゃないか,と思います。「色えんぴつアメリー」。カラフルな女性ですから,これでだいぶイメージが近づいてきました。
 アメリー・レ・クレヨンはリヨン出身の女性シンガーソングライターで,これが2枚めのアルバムになります。2001年のジャン=ピエール・ジュネ映画『アメリー・プーラン』以来,アメリーと名のつくアーチストたちはみんなかの映画のあやかりであろう,という嫌疑をかけられるのですが,あの周りの人たちをすべて幸せにしてしまう少女アメリー・プーランのイメージは,この「色えんぴつアメリー」と無縁ではありまっせん。たぶんこの女性の歌を聞いて幸せになってしまう人たちはたくさんいるはずです。
 いろいろなものを発見して,それから想像して,絵本のようなストーリーをいくらでも歌にできてしまう,そういう女性です。永遠の少女眼をしたアーチストです。風が吹けば飛びそうなやせっぽちに少女の恋物語に始まり,洗濯したおかあさんの肌着の良い匂いの秘密を知りたがったり,幻の汽車の旅を夢見たり,自分が世界最低の女だったらと想像してみたり....。
 これは私たちが子供の頃に「NHKみんなの歌」で見ていた原風景と似ています。童話のようで,やさしく,時おり不条理で,ピリ辛があったりする少女画です。色えんぴつアメリーの曲は三拍子系が多く,ピアノやギターやアコーディオンや木管楽器の優しい伴奏で,たま〜にカミーユ風に前衛遊びが加わったりします。でもエレクトロ系はほとんど除外されています。
 30頁もあるカラーブックレットは,歌詞ひとつひとつに1頁大のイラストレーションがついた絵本仕立てです。描いているのは彼女自身ではなく,サミュエル・リベイロンというイラストレーターですが,どれも素晴らしいです。7歳から77歳までの人たちがこの絵本を読んで,この音楽を聞いたら,ふわ〜っと浮く感じがするでしょうね。ひとかけらの下品さもないけれど,決して子供向けだけのものではない味わいがあると思うんですけど,ちゃんと日本に紹介されたらいいですね。

<<< Track list >>>
1. LA MAIGRELETTE
2. LE LINGE DE NOS MERES
3. LE TRAIN TROIS
4. LA DERNIERE DES FILLES DU MONDE
5. LES MANTEAUX
6. L'ERRANT
7. LES PISSOTIERES
8. LA FEVE
9. DE NOUS NON
10. CALEES SUR LA LUNE
11. LE CITRIONNIER
12. DEPUIS
13. CHAMELET
14. MARCHONS
15. LE GROS COSTAUD

CD L'AUTRE DISTRIBUTION OP10AC2295
フランスでのリリース:2007年10月15日

1 件のコメント:

かっち。 さんのコメント...

MyspaceやらYouTubeで聞いてみました。いいですね。les crayons が色鉛筆なのは全然拡大解釈じゃないと思います。それより、タイトルの PORTE PLUME が女性名詞なので、ペン軸ではなくてジャケットにある扉じゃないかしら。もちろんペン軸のもじりで、ペンが描き出す世界の扉だと思います。

こういう音楽やってみたいとアコーディオン弾きとしても感じました。