2013年3月30日土曜日

ジュヌ・コン

いつもの新譜紹介ではありません。ケント(1957 -  。リヨンの人。リヨンのパンクバンド、スターシューターのリーダー/ヴォーカリストだった人。シャンソン/フォークロック系のシンガー・ソングライターとなって十数枚のアルバムを発表してます)の新アルバム"LE TEMPS DES AMES"(2013年3月4日発売)は、ベルリンで出会ったドイツ人ピアニスト、マルク・オースマンとの二人三脚で制作された "piano-voix"(ピアノ+ヴォーカル。通常ピアノ弾き語りのことを指すのですが、この場合はピアノのみの伴奏のシャンソンということ)のアルバムです。結構むずかしいアルバム。
 その中の1曲で「ジュヌ・コン jeune con」という歌があるのですが、われわれのような中高年(ケントは当年55歳か)が性懲りもなく抱え込んでしまっている「愚かな若さ」を歌ったものです。「ジュヌ・コン」はそのまま訳すと「若いアホ」ということになるんですが、今の日本語では何と言うのだろうか? といろいろ考えました。「若造」とか「青二才」では "con" (愚か者、アホ)のニュアンスが希薄だし、「あほう」や「たわけ者」では若さ・青さが伝わらないし...。
 宿題にしておきますので、これぞというアイディアのある人は、メールかコメントで教えてください。
 歌詞はこんな感じです:
スターバックスで待ち合わせし、Facebookにプロフィールを出すような、ジュヌ・コンが俺の中にいる。ビールを一気飲みし、誰からでも唇にキスされるのを許すジュヌ・コンが俺の中にいる。俺の世代の連中は古ぼけた考えしか持っていないと思うジュヌ・コンが俺の中にいる。鏡で自分の姿を見ると、誰かが俺の場所を取ったんだと信じるジュヌ・コンが俺の中にいる。死にたい死にたいと思いながら30年すぎ、20歳の時にはもう歳とりたくないと思っていたジュヌ・コンが俺の中にいる。同じ年頃の女が俺を誘惑してきたら、この女は階を間違えたんだと信じるジュヌ・コンが俺の中にいる。全世界が自分を待望していると信じてる俺みたいなヴィユ・コンにはそれは全くもっておめでたいことじゃないか。だが自分の頭の中にあったたくさんの計画はいつまでも棚上げにしておくジュヌ・コンが俺の中にいる。若い連中から見透かされることに我慢がならないジュヌ・コンが俺の中にいる。自分が純潔無垢であると信じるにはあまりにも多くのことを知りすぎたと思っているジュヌ・コンが俺の中にいる。そいつは俺の忠告を全く聞かないし、いつも俺に本気で歯向かって来るジュヌ・コンが俺の中にいる。そいつは過度に動きまわり、夜もろくに寝ずに、いつかは俺をものにしてしまおうと思っている、そんなジュヌ・コンが俺の中にいる。
  文中「ジュヌ・コン」 = jeune con、 「ヴィユ・コン」 = vieux con
    静止画像ですが、Youtubeもあります。(↓)

2 件のコメント:

淳二 さんのコメント...

いまさらながら宿題について一晩考えてみました。
ジュヌ・コン jeune con は、簡潔に「ヤツ」で、いかがでしょうか。

そいつは過度に動きまわり、夜もろくに寝ずに、いつかは俺をものにしてしまおうと思っている、そんなヤツが俺の中にいる。

Pere Castor さんのコメント...

淳二さん、コメントありがとうございます。作者のケントは1957年リヨン生れで、BD作家と歌手の二足の草鞋を履く才人ですが、音楽デビューはパンクロッカーでした。彼の若くて愚かな(jeuneでconな)青春期はパンクだったわけです。この歌に沿えば、俺の中に残っているパンクという感じかなとも思うのですが、イメージが限定的になってしまうますね。今も現役だと思っているモラトリアム若者のニュアンスもありますしね。不良少年でも悪ガキでもない無軌道な若者をうまく言い当てる日本語というのは難しいですね。70-80年代日本の「つっぱり」という若者イメージはそんなに遠くないとは思いますが、今こんな言葉通用しないでしょうね。考えてくださってありがとうございました。