2009年10月15日木曜日

ルーラル・ステレオフォニック



La Talvera "Sopac e Patac"
ラ・タルヴェーロ『ソパック・エ・パタック』


 いいジャケですね。微妙な明暗つきの青色に,束になった複数の白線があちらからこちらから。これ,北斎からのインスピレーションなんですよ。富嶽三十六景の「神奈川沖浪裏」です。これはフランスでも"La vague hokusai(ラ・ヴァーグ・オクサイ=北斎の波)"と呼ばれて超名画あつかいの人気があります。

 新しいアルバムのタイトルは『ソパック・エ・パタック』。疾風怒濤シュトルム・ウント・ドランクみたいなもんで,直訳すると「浮沈と戦い」のような意味です。なんとこれが通算13枚目のアルバムで,この冬から来年にかけてラ・タルヴェーロは結成30周年の記念イヴェントを行います。そのひとつで11月にはブラジルに行って,このアルバムにも参加しているノルデスチのアーチスト,シルヴェリオ・ペッソアとコンサートを行いましたし,来年にはシルヴェリオ等と本格的なオクシタニア/ノルデスチ・アルバムのプロジェクトがあります。そして12月18日から20日の3日間,討論会やエキスポを含むラ・ラルヴェーロ祭りがあり,コンサートの部ではルー・クワール・デ・ラ・プラーノ,ムスー・T&レイ・ジューヴェン,ランブルスケラ(ベアルン地方の8声ポリフォニー・グループ),レ・フレール・コルニック(ブルターニュのビニューとボンバルドの二重奏兄弟),マルク・ミネリ(元ロック・ギタリスト)等が出演します。
 30年の節目に,気合いの入ったアルバム,という印象が強いです。このアルバムに関して,南西フランスの大手地方日刊紙ラ・デペッシュ・デュ・ミディ10月29日号にダニエル・ロッドーにインタヴューが掲載されています。

Q : 新アルバムの特徴は何ですか?
ダニエル・ロッドー : 13枚目というのは縁起のいい番号で,このアルバムではレパートリーがより拡大して,かつより多様化したんだ,しかもオクシタニアを離れることなくね。ここに収められた16曲には,ロックギタリストのマルク・ミネリや,有名なブラジルのシンガーシルヴェリオ・ペッソア,新しく女性ヴォーカリストとして加入した22歳のエディット・ブイーグ,それからブルターニュのミュージシャンなども参加している。昨今私たちはよくブルターニュで演奏するので,友だちができたんだ。
Q:収録された歌はいつもに増して状況にコミットしたものが多いですね。これはどういう意味なのですか?
DL : これらの曲はまずダンスさせるための音楽なんだ。しかしその歌詞は明確な政治的意思表示でもあるんだ。3曲めの「バラーダ」はすべての「政治囚」のために作られ,とりわけコルシカのエリニャック地方長官殺害の廉で有罪となったイヴァン・コロナに捧げられているが,私はコロナが有罪ではないと信じている。加えてジュリアン・クーパ(註:TGVの架線切断妨害を組織したとして「テロリスト」として逮捕されたタルナックの青年)にも言及していているが,彼は全く無実だ。たくさんのタルナックの住人たちがコルドに私たちに合いに来て,私たちは多くの友人たちをつくった。別の歌で10曲めの「サルキーリャの寓話」というのがあるが,これは「サルコの寓話」と直訳してもいい。この歌の結論は,私たちが幾万人にもなって街頭で叫んだら,しまいには彼を追い出すことができるだろうと歌ってる。
Q : 9曲め「ペンヌの鬼」で描かれている人物は誰ですか?
DL:これは19世紀末の伝説的人物。ジャン・ジョレスと同時代人,もともとは幾何学者で,ジョレスに対抗して国会議員選挙に立候補したが,のちにジョレスのために出馬辞退をしている。「ペンヌの鬼」は狂信的夢想家で,軍隊の解体を説き,貧富の溝をなくすことを望んでいた。彼は1立方メートルもある巨大な角灯を持っていて,世の中に正義の光を当てようとしたんだが,それをパリの国会議事堂前でかざしたおかげで,サン・タンヌ精神病院に収容されるはめになる。私たちの歌は,もしも彼が今日この世に帰ってきたら,愚行と虚栄のために暗くなった世界を照らし出すには100立方メートルのランプが必要だろう,と歌ってる。

 30周年おめでとう。またコルドに遊びに行きます。
 ラ・タルヴェーロ:ダニエル・ロッドー(ヴォーカル,ディアトニック・アコーディオン,クラバ,バンジョー,カヴァッキーニョ,口琴,パーカッション....),セリーヌ・リカール(ヴォーカル,フィフル,フルート...),セルジュ・カボー(デルブカ,ボンゴ,パーカッション...),ポール・ゴワヨ(グンブリ,ベリンバウ,カルカヴァ,ネイ...),ファブリス・ルージエ(クラリネット,バリトンサックス...),エディット・ブイーグ(ヴォーカル),トニー・カントン(ヴァイオリン)。

<<< トラックリスト >>>
1. Se venes pas a La Talvera (きみがラ・タルヴェーロの方に来ないのなら,ラ・タルヴェーロがきみの方に行くよ)
2. Al bal de La Talvera (ラ・タルヴェーロのバル)
3. Balada (バラード)
4.Escrivans (著述家たち)
5. Abojo do Sertao (セルタンの呼び声)
6. Canti canta cantem (私は歌い,彼は歌う,みんなで歌おう)
7. Sénher Francés (フランス人さま)
8. Se jeu vali pas gaire (私に何の価値もないのなら)
9. Lo Terrible de Pena (ペンヌの鬼)
10. La fauta de Sarquilha (サルキーリャの寓話)
11. Filhas que setz a maridar (嫁ぎ行く娘たちへ)
12. Passa aici. Passa alai (こちらを通って,あちらを通って)
13. Il a occis Tanie (彼はタニーを殺した。イラオクシタニー)
14. L'engarçaire (ペテン師)
15. Sardenha (サルデーニャ)
16. E ro la la (エ・ロ・ラ・ラ)
17. Tornam un cop de mai (私たちはもう一度帰ってくる)
18. Las linhas de tas mans (きみの手相)

LA TALVERA "SOPAC E PATAC"
CD CORDAE/LA TALVERA TAL15
フランスでのリリース:2009年11月2日


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