2009年10月27日火曜日

ジャンゴ100年



Angelo Debarre + Boulou Ferré + Elios Ferré + Romane "DJANGO 100"
アンジェロ・ドバール+ブールー・フェレ+エリオス・フェレ+ロマーヌ 『ジャンゴ100』


 来年1月がジャンゴ・ラインハルトの生誕100周年にあたり、イヴェントや記念盤が目白押しです。ジャン=マリー・サラニ(JMS社。レーベル、音楽出版社、興行エージェント)は、こういうすごいメンツのギター四重奏団を組織して、ジャンゴ・トリビュートのスペクタクル(1時間45分)を立ち上げ、この11月から全国ツアーを開始しますが、このCDはそのスペクタクルのエッセンスを集めた12曲入りです。
 スペクタクルは4人で始まり、やがて5人目のギタリスト(ダヴィッド・ラインハルト)が加わり、次いで6人目のギタリスト(シュトケロ・ローゼンバーグ)が入り、また7人目のギタリスト(ノエ・ラインハルト)が登壇し...という感じでどんどんギタリストを増やしていき、フィナーレには100人のギタリストがステージに登って「マイナー・スウィング」を大合奏するという、大見せ場が待っています。このCDにはその100人版の「マイナー・スウィング」が、ヴィデオトラックとして収められています。
 ブールーとエリオスのフェレ兄弟は、ジャンゴの影武者的なギタリストだったジャン・"マトロ”・フェレの二人の息子です。そのマトロ・フェレも、バロ・フェレ、サラン・フェレと「フェレ3兄弟」としてフランスのジャズギターの黄金期を築きました。「ラインハルト」と「フェレ」はギタリストの屋号としては金看板ですね。とは言ってもお家芸を継いでいるだけではなく、オリヴィエ・メシアンに師事したり、フランク・ザッパと交流したり、というのが70-80年代にマヌーシュ・ギターを刷新する役目を負った第二世代のえらいところだったと思います。ラファエル・ファイス、ビレリ・ラグレーヌ、みんな火の出るようなギタリストだったですね。
 ロマーヌはトマ・デュトロンの師匠ですが、ショーマン的で先生的で、憎めないキャラのヴィルツオーゾです。それにひきかえアンジェロ・ドバールは電撃的で破天荒なイメージがありますね。この4人が四重奏団。まとめ役はロマーヌのような気がします。このCDでは曲目リストに、主題リードの順番、ソロパートの順番が名前で明記してあるのがいいですね。おお、ここからブールーのソロか、お、次ぎはアンジェロか、なんてわくわくしながら聞くことができます。
 基本的に私のマヌーシュ・ギターの聞き方は、早い、きれい、が決め手です。それだけで十分に楽しめ、うっとりでき、膝ががくがくになりますから。まあ、この4人のは文句なしですね。2曲めのフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」(ジャンゴが1946年に "Echoes of France"という題で録音して、スウィング版ラ・マルセイエーズで人気を博しました)なんか美しすぎて思わず拍手しましたね。今時「イダンティテ・ナシオナル(identité nationale国民としてのアンデンティティー、国民的資質)」を論議しようとしているネオ・コン派&サルコジ派は、こういうの聞いたらフェイクと思うのでしょうかね。

<<< トラックリスト >>>
1. Appel indirect
2. La Marseillaise
3. Artillerie Lourde
4. Anouman
5. Place de Brouckere
6. Nuage (feat. David Reinhardt)
7. Babik (feat. David Reinhardt, Stochelo Rosenberg)
8. Douce Ambiance (feat. Stochelo Rosenberg)
9. Manoir de mes reves (feat. Noë Reinhardt, Chriss Campion)
10. Djangology (feat. Chriss Campion, Noë Reinhardt)
11. Nuits de Saint-Germain-des-Près
12. Minor Swing (with 100 guitarists)
+ Bonus video track "Minor Swing" (with 100 guitarists)

Angelo Debarre + Boulou Ferré + Elios Ferré + Romane "DJANGO 100"
CD JMS JMS098-2
フランスでのリリース:2009年11月9日


(↓100人のギタリストによる『マイナー・スウィング』!)

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