2013年5月7日火曜日

なにゆえここに鳴り響く狩猟ホルン

Clothilde "French Swinging Mademoiselle 1967"
クロチルド『フレンチ・スウィンギング・マドモワゼル 1967』



  カルト・フレンチシクスティーズ・コンピレーション『スウィンギング・マドモワゼル Vol.2』(サッシャ・モネ監修2002年発表)で、破格の評価を勝ち得てしまったクロチルド(1948 - )はたった2枚のEP(4曲入り)シングルしか録音していません。1967年にヴォーグからリリースされたその2枚のシングルは当時全く話題にならなかったわけですが、ジャン=イーヴ・ガイヤック書く真っ黒いユーモアの詞と、チェンバロやら狩猟ホルン隊やらが大活躍するアヴァンなジェルミナル・テナスの編曲が、一部プロにおおいに受けて、ステラ(のちのマグマ、ステラ・ヴァンデール)などに多大な影響を与えます。
 このジャン=イーヴ・ガイヤックの歌詞でいかにナンセンスで "bête et méchant"(ベート&メシャン。馬鹿げていて意地悪。60年代フランスのきつ〜いエロ・グロ・ナンセンス月刊誌「Hara-Kiri」の掲げたモットー)であったか、という例で、クロチルドで最も知られた歌「猫のしっぽを踏んじゃダメ」(モロに「猫ふんじゃった」と訳してもいいでしょうね)の歌詞を以下に。
L'était pas superstitieux !  彼は迷信深くなかったのね
L'aurait dû l'être un p'tit peu でもちょっとそうだった方がよかったかも
L'aurait mieux fait d'éviter 避けられることだったらね
L'innocent petit minet かわいそうな子猫ちゃん

Refrain:
Fallait surtout pas 猫のしっぽを踏むなんて
Ecraser la queue du chat. 絶対しちゃダメだったのよ
Non,non ,fallait pas. 絶対絶対ダメ
Hep ! エップ!

Il travaillait dans le bois その男は森の中で働いていたの
C'était un garçon adroit 手が器用な青年だったのに
Qu'arriva-t-il ce jour-là ? その日はどうしちゃったのかしら
La scie lui coupa le bras ! のこぎりで腕を切っちゃったの

Refrain:
Fallait surtout pas 猫のしっぽを踏むなんて
Ecraser la queue du chat. 絶対しちゃダメだったのよ
Non, non, fallait pas. 絶対絶対ダメ
Hep ! エップ!

Comme il sortait d' l'hôpital 病院から出て来たら
Une voiture l'accrocha 自動車にぶつけられちゃった
Sa jambe droite lui faisait mal 右脚を痛めたっていうのに
C'est la gauche qu'on amputa ! 手術で左脚を切断しちゃった

Refrain:
Fallait surtout pas 猫のしっぽを踏むなんて
Ecraser la queue du chat 絶対しちゃダメだったのよ
Non, non, fallait pas 絶対絶対ダメ
Hep ! エップ!

Son malheur fut qu'il surprit おまけに彼の不幸ときたら
Sa femme, un homme dans son lit ! 妻が他の男とベッドにいる現場に出くわした
De colère, il les tua 怒りに狂った彼は妻と間男を殺しちゃった
Et la tête, on lui trancha. その結果彼はギロチンで死刑になったのよ

Refrain:
Fallait surtout pas 猫のしっぽを踏むなんて
Ecraser la queue du chat 絶対しちゃダメだったのよ
Non, non, fallait pas 絶対絶対ダメ

On remet ça parc'que c'était joli: 素敵な歌詞だからもう1回歌うわよ

Fallait surtout pas 猫のしっぽを踏むなんて
Ecraser la queue du chat. 絶対しちゃダメだったのよ
Non, non, fallait pas. 絶対絶対ダメ

C'était la morale de cette histoire ! これがこの物語の教訓よ!
Hep !    エップ!                      
 この「エップ!」というかけ声がたまんないですね。

  代表曲はファーストEPシングルのタイトル曲であるこの「猫のしっぽを踏んじゃダメ(Fallait pas ecraser la queue du chat)とセカンドEPシングルのタイトル曲「サペルリポペット」(ほとんど意味なしの(とても古めかしい)話語で、ちぇっ、あほらし、スカやんけ、みたいなニュアンス)ですが、その4曲シングル2枚、すなわち8曲に加えて、そのうちの2曲のイタリア語ヴァージョン、そして当時のヴォーグ・レーベルの人気(コミック)バンドだったレ・シャルロ(アントワーヌのバックバンドだった時はレ・プロブレムという名でした)との共演テレビ出演テープ(未発表)「落ちやすい男たち」(Des Garçons faciles)、これで合計11トラックで、クロチルド全録音アルバム(トータルランタイム:30分3秒)となりました。Born Bad Records ジャン=バチスト・ギヨーの快挙です。

<<< トラックリスト >>> 

1. FALLAIT PAS ECRASER LA QUEUE DU CHAT 
2. JE T'AI VOULU ET JE T'AI BIEN EU
3. LA CHANSON BETE ET MECHANTE
4 LE BOA 
5. SAPERLIPOPETTE
6. LA BALLADE DU BOSSU
7. 102-103
8. LA VERITE TOUTE LA VERITE
9. DES GARCONS FACILES (feat LES CHARLOTS)(未発表) 
10. A ORA SO COS'E ("FALLAIT PAS ECRASER LA QUEUE DU CHAT" ITALIAN VERSION)
11. QUALCOSA CHE NON VA ("LA CHANSON BETE ET MECHANTE" ITALIAN VERSION )

Clothilde "French Swinging Mademoiselle 1967"
Born Bad Records CD & LP BB047
フランスでのリリース:2013年4月29日

(↓)「猫のしっぽを踏んじゃダメ」

   
 

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