2010年7月25日日曜日

オーパ! オーパ!



 7月23日、ルーヴルとサン・ジェルマン・デ・プレ界隈を結ぶ歩道橋ポン・デ・ザールのすぐ近くの左岸ケ・マラケに停泊するペニッシュ、ラ・バル・オ・ボンLa Balle au Bond船上で、日本人マヌーシュ・スウィング・ギタリスト、トモ君のプレイを楽しみながら食事。
 それまでずっといい天気が続いていたのに、この日は午後から崩れ、夕方から何度か俄雨が降る、危ういコンディション。レストランは最上デッキで、屋根がないので、雨の場合は天幕を拡げるものの、横からの雨は防げないので、最悪の場合はトモ君のステージもキャンセルになってしまうのです。午後8時に着いた時にはやや強い雨で、私たち4人は席に案内されたものの、横からの雨でテーブルにも雨がかかるような状態。ギタリストは2人で、ソロを取るトモ君の向かいに、ポンプ(マヌーシュ・スウィング独特のザ、ザ、ザ、ザ、というリズム・ギター)専業のマニュ(フランス人)がいて、2人とも曲が終わるたびに、ギターにかかった雨水を布で拭きとらなければならないほどでした。
 雨はそのうちに止み、空も夕映えが見えるほど雲が散り、私たちは船上でセーヌの流れに揺られ、向かい側にポン・デ・ザールとルーヴルと右岸の岸辺歩道を散歩する人たちを、上に夕闇の空を、川の上に時おり通りすぎる遊覧船を見ながら、トモ君のギターの妙技を楽しむ、という素敵な宵になりました。ジョルジュ・ブラッサンスの曲や、ジャズのスタンダードを交えながら、「マイナー・スウィング」や「黒い瞳」というマヌーシュ・ジャズの定番を演奏するトモ君は、これはすごいとうならせる超絶テクを披露しながら、一曲一曲真剣勝負の大熱演。ひと夏中ここで演奏することになっているのだそうですが、夏の終わりにはかなりのファンや次のお仕事をつかむことになるだろう、と確信できるようなパフォーマンスでした。
 生憎の天気で、金曜日夜なのに客の入りが悪く、私たちだけが盛り上がっていたような2時間ステージでしたけど、良いもの見せていただきました、ありがとう。
 最後にこれだけは言わせてもらうと、ここのレストランの食事はあまり感心できないので、来る人は「ドリンクのみ」にとどめた方がよろしいでしょう。


(↓白熱のアドリブを交えた「黒い瞳」)

2 件のコメント:

さなえもん さんのコメント...

美しい指だなぁ、と見とれてしまいました。
日本人がこうして異国で活躍するのを見て
とても誇りに思うし、心から応援したいと思いました。
来年はZebdaじゃなくハタノさんのステージを
観にパリに行こうかな。(頑張って働くよう)

Pere Castor さんのコメント...

「アリとキリギリス」じゃないけど、ミュージシャンは夏にプレイし続けなければならない宿命を負っていて、その蓄えで秋冬の飢えをしのぐことになります。Tomo君はこの夏からそのパターンに入りました。だから夏中休みなしで。太陽ギラギラで暑いなんて言ってられない。なにしろ天気が悪かったら仕事がキャンセルになる。
動画見てわかると思うんだけど、全然手抜きなしの真剣プレイなの。ほとんどが観光客の船上レストランで、こんなにまでしなくても、と思うのだけど,一旦ギターを持ったらミュージシャンかたぎが許さないんだろうねえ。火を吹くようなアドリブが!
ひと夏中,火を吹き続けるって、そりゃあ,あんた... 若いという字は苦しい字に似てるわ。