2009年2月11日水曜日

サイバーな詐欺



 昨日たまたまダフト・パンクに関するメールを松山さんに送ったら、今朝のネット版リベラシオン紙にデカデカとニュースが載っていて....偶然ですね。
 ダフト・パンクは数日前に米グラミー賞で2部門受賞でした。それでも当地のメディアはたいした報道をしておりません。まあ,この種の音楽につきまとう,一般メディアの蔑みと言いますか,冷淡な態度が原因してのことと思います。天下のグラミー賞2部門受賞ですよ,もうちょっと騒いでやってもいいんじゃないか,と思いますが。
 ところが,こういう事件になるとデカデカと出ます。一体何が起こったかと言うと,サイバー詐欺ですね。ことの発端は先週から,中国は上海のフランス人コミュニティーの中で,ダフト・パンクがシークレット・コンサートを行うらしいという噂が流れた,ということのようです。そういう噂は瞬く間に全世界に広がってしまいますわね。それを知った2人の若者(フランス人とスイス人)が,この噂を利用して,"DAFT PUNK HIDDEN TOUR 2009"と名乗るツアーをでっち上げ,偽オフィシャル・サイトとフェイスブック・コミュニティーを立ち上げるんですね。
 ダフト・パンクが2月13日,上海でシークレット・ライヴを行う。場所は当日まで明かされない。ヴァーチャルチケットが発行され,チケット代57ユーロを払った人には,当日携帯メールでコンサート会場が通知される。
 これにひっかかった人たちが世界で2000〜5000人いるそうです。もちろんコンサートは開かれません。まんまと売上金を手に入れた二人はとんずらしました。フェイスブックには事件追及糾弾コミュニティー"HIDDEN CONCERT SCAM"が立ち上げられました。"scam"とは米俗語で詐欺のことです。「まんまとすかまされる」と覚えましょう。

 私も娘もフェイスブック利用者で,告知されるイヴェントなどは結構信頼して見てます。またフランスでの話ですけど,去年の暮にある造船工場が銀行融資を受けられなくなって,受注があるにも関わらず百数人の従業員の12月の給料が払えない,倒産もまぬがれない,ということに責任を感じて社長が自殺してしまいます。その娘(まだ20代前半)がやり場のない怒りをフェイスブックに書込み,金融危機を理由に不条理かつ非業の死を遂げなければならなかった父に代わって,私が従業員に給料を払いたいので,みなさんに連帯の心があれば,どんな小額でもいいから寄付してください,と訴えたのですね。そうしたら,この大不況の時期に,たくさんの人たちが激励の手紙もそえて思い思いの額で小切手を送ってきてくれたんです。その結果社員は遅れた月給を支払われ,工場もよい条件で人手に渡る方向に向かっているそうです。これがラジオやテレビなどでも紹介されて,経済危機の時代に花咲くフェイスブック美談になってしまったわけです。
 両極端ありますね。ナイーヴさを捨てて疑ってかかりましょう,と言うつもりはありません。わかると思うんですけどねえ,怪しいものは。

 

 
 

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