2008年12月20日土曜日

BUDAはビュダですか? ブダですか?



 (←イランの笛/打楽器アンサンブル:サイード・シャンベエザデーの3人と、ジル・フリュショー、灰色上着の銀髪紳士は民俗音楽研究家アンリ・ルコント = 元テニス選手とは無関係、頭のヘッドフォンだけが見えるのが番組主フランソワーズ・ドジョルジュ。写真をクリックすると大きく見れます。)

 12月19日、ラジオ・フランスの中にあるシャルル・トレネ・スタジオで、国営FMフランス・ミュージックの番組「Couleurs du monde(世界いろいろ、とでも訳せましょうか)」の公開録音がありました。番組主はフランソワーズ・ドジョルジュというエレガントな女性で、世界音楽を紹介するプログラムです。当夜のメインゲストは、世界音楽の世界では世界的なレーベル(世界が3つ並んだなあ)Buda Musiqueのディレクター、ジル・フリュショーで、同レーベルの21周年を祝おうというものです。「21年」とは半端な数字と思われましょうが、フランスでは1974年まで成人は21歳でした。あの頃は21歳まで、あれもしてはいけない、これもしてはいけない、喫煙飲酒だけではなく、ご交際もご外泊もご休憩もしたら咎められる、そういう封建的な風潮があり、21歳になる、というのは大変なお祝いごとだったのです。その日には堂々とホテルを予約する、そういうものでした(どうも話題が違う方に行っているなあ)。
 というわけでBuda Musiqueの「元服」を祝おうという宴で、Buda Musiqueのオールスターズが集まって演奏を披露しました。箏と唄の千田悦子さん、ウード二重奏のロープイット親子、イランの笛/打楽器の三重奏アンサンブルのサイード・シャンベエザデー親子、オクシタン・ポリフォニーのルー・クワール・デ・ラ・プラーノ(ロ・コール・ド・ラ・プラナ)、そしてクレズマー・クラリネットの新王ヨムのクアルテットが出演しました。
 2〜3曲演奏したあとで、アーチストがフランソワーズ・ドジョルジュとジル・フリュショーのいるテーブルに合流して、自分とBuda Musiqueとの関わりみたいな話をして、ジルにヨイショするわけですね。ルー・クワール・デ・ラ・プラーノのマニュ・テロンは、その席で「ところで、これはビュダなのか、ブダなのか?」とジルに核心的な質問をしました。ジルは「それには諸説あるが、ハンガリーの首都の川を挟んだ半分という説と、パリ11区のチベットレストランの定食メニューの名であるという説がかなり有力である」とはぐらかしました。(★)
 テロンはプロデューサーとしてのフリュショーの徳は、とことんまでの相互信頼を許すパートナーであることだ、とも言いました。実はテロンは最新アルバム『Tant Deman 明日があるさ』の制作の前に、いろいろなレーベルを当たってパートナー探しをしていたのですが、その時をことを:「なんて言う名前だったっけ?ほら、シニックの反対語の会社、あそこはひどかったぜ」などと公然とNaiveの悪口を始めたりして...。まあ、その末にフリュショーという真に信頼できるパートナーを見つけるのですが、それは二人とも大変な飲ん兵衛であり、酒振る舞いの気前よさで意気投合したような内情を、私は知っています(秘密)。
 トリをつとめたヨム君は、例の王様扮装で登場してくれず、会場をがっかりさせたものですが、「ラジオだからいいじゃん!」という言い訳で。その1曲めの、超高速フレーズにジングルベルのメロディーを盛ったりして、サービス、サービス。そう言えば、この日の録音が国営フランス・ミュージックの電波でオンエアされるのは、12月24日午後8時から10時半。一体この日のこの時間帯に、この地味なラジオ放送局のこの番組を聞く人たちは、どれだけいるでしょうか?
 (↓)この日もちょっとだけディジカメでヴィデオ録りしました。Lo Cor de la Planaですが、この日は一人足りずに5人。欠席君は4日前にパパになったので、というめでたい話でした。

 
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爺註(★)
Buda Musiqueの創始者は二人います。Dominique Buscail(ドミニク・ビュスカイユ = 故人)とFrançois Dacla(フランソワ・ダクラ = 現EPM社長)です。この二人の姓のあたま2文字ずつを取って、Bu Da → BUDA という社名になったのです。ですから「ビュダ」と読まれるのが妥当なわけですが、現代表のフリュショーやわたしなんぞはどっちだっていいじゃんという態度で、フツーに「ブダ・ミュージック」と言ってます。


PS 1 (12月23日)
 フリュショーさんに会っていろいろ話を聞きました。その恰幅の良さと,地方人風のたたずまいと,何でも知っている老教師みたいなわかりやすい語り口... そういう雰囲気が漢字で「古庄」と振るとぴったりでしょう。寒い日にお宅にうかがうと,おかみさんがすす〜っとお椀ものを出してきて,これ飲んだらあったまるけえのお,とすすめてくれる,熱い湯気をふうふう吹いて,お椀からずずず〜っと音を立てて飲み込む「古庄汁」(ブダ汁とも言う),そういう光景が目に浮かびませんか? ジル・フリュショーはそういう大地のヒューマンが香る音楽人です。机の上の仏陀の文鎮に注目あれ。

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