2010年5月6日木曜日

兄弟の握りこぶし



MOUSS & HAKIM "LIVE - VINGT D'HONNEUR"
ムース&ハキム 『ライヴ - 栄光の20年』


 まず、スクープから。
 ゼブダが新アルバムを出します。2011年。情報の出処はタクティクレクティフ(トゥールーズのゼブダ外郭市民団体)ですから、かなり確実性があると思います。

 ゼブダのフロントメン3人のうちの2人のアモクラン兄弟、ムースとハキムが、その音楽活動(ゼブダ、モチヴェ、100%コレーグ、100%ファミーユ、ムース&ハキム、オリジンヌ・コントロレ...)の20周年を記念して、2009年12月、トゥールーズで行ったコンサートのダブルライヴアルバムです。
 ゼブダはマジッド・シェルフィという「頭(かしら)」がいて、ムースとハキムはその行動隊のように見られるキライがありました。ゼブダが2003年に休止宣言をして以来,兄弟はブリジット・フォンテーヌ,アンヘル・パラ,ティケン・ジャー・ファコリー,シェブ・マミなどとのコラボレーションを経て,「ゼブダの」という枕詞を邪魔にするような,強烈なパフォーマー魂を発揮するライヴアーチストとしてどんどん伸びてきました。ムース&ハキムの初アルバム(2005年),そして流謫の地フランスで歌われたアルジェリア歌謡をレパートリーにしたアルバム『オリジンヌ・コントロレ』(2007年),兄弟はどんどん良くなってきました。
 ひとたびステージに立つや,老若男女を問わず見る者すべてを熱狂の祝祭ダンスに誘い込むその煽動力は,いつしかステージでゼブダのレパートリーを必要としなくなったのです。これがムース&ハキムの一本立ちの証しですね。このダブルアルバムはその20年で「成人」したムース&ハキムの円熟のライヴです。
 CD1は"LA FIBRE"(ラ・フィーブル)と副題されています。これは繊維という意味ですが,転じて「心の糸」「心根」と解釈され,兄弟が心の底に持っているルーツ,アルジェリア/カビリアと,その先達アーチストたちの手になるレパートリーを中心としたプログラムです。

<<< トラックリスト CD 1 >>>
- INTASS (作者 CHEIKH EL HASNAOUI) (初出アルバム ORIGINES CONTROLEES)
- GATLATO (作者 DJAMEL ALLAM) (初出アルバム ORIGINES CONTROLEES)
- LA CARTE DE RESIDENCE (作者 SLIMANE AZEM) (初出アルバム ORIGINES CONTROLEES)
- BHADJA (作者 DAHMANE EL HARRACHI) (初出アルバム ORIGINES CONTROLEES)
- TELT INNYAM (作者 LOUNIS AIT MENGUELLET) (初出アルバム ORIGINES CONTROLEES)
- DITES-MOI (作者 SLIMANE AZEM) (初出アルバム 100% COLLEGUES)
- MAZEL (作者 LOUNIS AIT MENGUELETT) (初出アルバム 100% COLLEGUES)
- AZGAR (作者 SLIMANE AZEM) (初出アルバム ORIGINES CONTROLEES)
- ABRID (作者 MATOUB LOUNES) (初出アルバム ORIGINES CONTROLEES)
- CHTEDOUYE (作者 BRAHIM IZRI) (初出アルバム 100% COLLEGUES)
- LA FRANCE (作者 M MAZOUNI/A SOULIMANE) (初出アルバム ORIGINES CONTROLEES) 
- AWAH (作者 IDIR) (初出アルバム 100% COLLEGUES)
- KAZAK (作者 JEAN-LUC AMESTOY) (初出アルバム 100% COLLEGUES)

最後の曲の作者のジャン=リュック・アメストイはトゥールーズのアコーディオニストで,モチヴェと100%コレーグにその最初から参加している人で,そのスラヴ系の名前が示すように,ここではオリジナルのスラヴ・アコーディオン曲(インストルメンタル)で,聴衆をノセまくります。

 CD2は "LA TRIBU"と副題されていて,文字通り,ムース&ハキムと「その一党」「その大家族」の大饗宴です。

<<< トラックリスト CD 2 >>>
- LA TRIBU (M.CHERFI/100% COLLEGUE) (初出アルバム 100% COLLEGUES)
- C'EST PAR MA MERE (M.CHERFI/H&M AMOKRANE, REMI SANCHEZ) (初出アルバム 100% COLLEGUES)
- PETITE HISTOIRE(M.CHERFI/100% COLLEGUE) (初出アルバム 100% COLLEGUES)
- ON EST VENU (M.CHERFI/100% COLLEGUE) (初出アルバム 100% COLLEGUES)
- BOTTES DE BANLIEUE (C.NOUGARO/H&M AMOKRANE, REMI SANCHEZ) (初出アルバム MOUSS & HAKIM)
- LA BOUCHE (M.CHERFI/H&M AMOKRANE, REMI SANCHEZ) (初出アルバム MOUSS & HAKIM)
- ESTACA (LLUIS LLACH) (初出アルバム MOTIVES)
- PASO DEL EBRO (trad) (初出アルバム MOTIVES)
- BELLE CIAO (trad) (初出アルバム MOTIVES)
- BANDIERA (trad) (初出アルバム MOTIVES)
- OUALALARADIME (M.CHERFI/ZEBDA) (初出アルバム ZEBRA "ESSENCE ORDINAIRE")
- MOTIVES - LE CHANT DES PARTISANS (J.KESSEL,M.DRUON/ANNA MARLY) (初出アルバム MOTIVES)

 この時客席にいたマジッド・シェルフィが,ステージに駆け上りたいという衝動を抑えるのに必死だったと言います。後半を革命歌/抵抗歌で固め,ゼブダのレパートリーを1曲だけ挟んで,必殺の「モチヴェ,モチヴェ」で締めます。赤いオリゾンに兄弟がこぶしを振り上げたジャケットアート。サルコジ治世3周年の今日,私たちは激烈に熱いレジスタンスのライヴアルバムを手にしたわけです。

<<< パースネル >>>
Mustapha Amokrane (vo)
Hakim Amokrane (vo, derbouka)
Jean-Luc Amestoy (accordion)
Rachid Benallaoua (mandole, ney, percussion)
Julien Costa (dms)
Serge Lopez (g)
Manu Vigourous (g)
Yannick Tournier (b)

MOUSS & HAKIM "LIVE - VINGT D'HONNEUR"
2CD Tactikollectif / blue line / l'autre distribution AD1713C
フランスでのリリース:2010年5月31日


(↓国営TVフランス3のニュースで報道された2009年12月トゥールーズのコンサート)

0 件のコメント: