2009年6月7日日曜日
しかしこの子たち顔が悪いなあ...
Archimède "Archimède"
アルシメード『アルシメード』
あるし突然、アルシメード。これは古代ギリシャの哲人/科学者の名前です。アルキメデス。お風呂でその原理を発見して「われ発見せり。エウレカ!エウレカ!」と浮かれて裸で市中に飛び出したという伝説のある人です。裸で市中に出るのは、ロックンローラー的とも言えますが、日本では普通の芸能タレントでもするようになりましたし。
さて、フランスでSony Musicという大きな会社からデビューしたばかりの兄弟バンド、アルシメードです。出どころは西部フランス内陸部マイエンヌ県の首邑ラヴァルです。ニコラ・ボワナール(ヴォーカル、ハーモニカ)、フレデリック・ボワナール(ギター、キーボード、サイドヴォーカル)。その音楽を称してレコード会社の叩き文句は「ポップ・フラングロ・サクソン Pop Franglo-Saxone」と書いてあります。
全曲フランス語ですが、フランス語の意味など無視して英語ノリを作り上げている箇所がかなりあります。いっそのこと英語で歌ってくれた方がいいのに、と思うムキもありましょうが、このフラングレ(Franglais。Françaisフランス語とAnglais英語の合成)という言葉はフランスでは70年代頃から使われているもので、例えば「止める」というのを本来のフランス語の"Arrêter"(アレテ=止める)と言わずに"Stopper"(ストッペ=ストップする)というような言い方をする表現がフラングレです。このノリはボリス・ベルグマンと組んでいた頃のアラン・バシュングの得意技でした。
さてボワナール兄弟のねらいは、明らかにギャラガー兄弟のパクリであり、この子たちは90年代ブリット・ポップを21世紀になってからフランス語でフォローしているのであります。これだけタネがはっきりしていると、聞いていて気持ちがいいものです。そしてニコラ・ボワナールのヴォーカルのクオリティーは、リアムのそれと同じ意味で、ロック・ヴォーカルの持つカッコ良さのひとつの典型と言えると思います。ヴォーカルさえ良ければ、あとはどうでもいいようなところがあるじゃないですか。
私は4曲めのバラードの"Au diable vauvert"と7曲めのタテ乗りの"A l'heure H"の2曲にしびれました。これはニコラのヴォーカルだけのせいだと思います。
しかしこの子らは惜しむらくやルックスがよろしくない。天は二物を与えぬものですが、この子らがきれいな顔立ちだったら、展開は全然違ってくるでしょうに。
<<< トラックリスト >>>
1. EVA ET LES AUTRES
2. L'ETE REVIENT
3. VILAINE CANAILLE
4. AU DIABLE VAUVERT
5. FEAR FACTEUR
6. A L'OMBRE
7. A L'HEURE H
8. PASSE PAR PARIS
9. L'AMOUR PMU
10. DECALAGE HORAIRE
11. DUSSE-JE
ARCHIMEDE "ARCHIMEDE"
SONY MUSIC FRANCE CD 88697436962
フランスでのリリース:2009年6月1日
CLIP - L'été revient
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2 件のコメント:
これもありだと思います。
一連のPVを観たけど、何だか微笑ましい。
マンチェスターの荒くれ者とは違って、
いい人っぽいキャラだし。
曲もそこそこですし。
アルバムのジャケットはちょっぴりオシャレ
なので、ジャケ買いする人もいるでしょう。
(そこが狙い?)本人たちは顔が悪いと
思っていないだろうな・・・。
そこだけが残念。でも売れて欲しい。
私は嫌いじゃないですよ、この手の音。
パリに来ていたタニ〜に、事務所でこのCDを聞かせたら、一発で気に入ってね、「このCDフツーの店で売ってるん?」という質問を。たしかにFNACなどで良いCDを探すというのが難しい時代になってきたのね。メジャーのSony Musicからであるから、「フツーの店」にあるはず。
ルヴァロワ・ペレはマンチェスターではないし、強いフットボールチームもない。しかし隣町のクリシーには Sony Music Franceの社屋がある。そういうローカルなコネ関係がちょっと匂う。
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