2008年1月17日木曜日

パパユーの悲しみ



 小児科医/精神分析家でラジオでの育児相談や児童心理相談などでフランス中のお母さんたちと子供たちの心のガイド役だったフランソワーズ・ドルト(1908-1988)は,私が父親になった時(1994年)子育ての参考になるからとある人からその著書をプレゼントされたことがあります。さまざまな事情があって,娘(Cécile-Yu Castor)の教育には私たちが人一倍の苦労をするはずとみんな心配してくれたのですが,実際はそんな苦労があまりなかったので,その本も読んでません。その子育ての権威であったフランソワーズ・ドルトにひとりの息子がいて,それが巨体を揺らしながらトロピカルでコミカルな歌を歌っているカルロス(本名イヴァン=クリゾストム・ドルト)だと知った時は,ちょっとびっくりしました。民放ラジオRTLの名物トーク番組「グロス・テット Grosses Tetes」で,下半身系の小咄をやらせたら他の追随を許さないカルロスは,聖人みたいな母親から反動として生まれた超一級の猥談テラーでした。爺が嫌いなわけがないじゃないですか。
 まあ,それはともかくとして,娘Yu が保育所や幼稚園に行っていた頃,娘の友だちや保母さんたちが,私が行くと「Yuのパパ」と言わずに「パパユー」と呼んで,「パパユー,パパユー」という歌で私を迎えてくれたのでした。その "Papayou"という歌は1983年のカルロスの大ヒット曲でした。(↓に「パパユー」のユーチューブ画像貼付けます)。

PAPAYOU (CARLOS)

 その頃からずいぶんあとにわかったのです。この「パパユー」は子供向けの歌のようですが,実は男の子の股の間についてあるものを歌っているんですね。なるほど世界的精神分析学者の息子と言いましょうか。歌詞の中で,ある日学校の女の先生に「きみは大きくなったねえ」と言われて,「僕のパパユーも大きくなったよ」と見せたら,先生がまあっ!と叫んだ,という一節があります。あの頃私は何も知らずに子供たちから「パパユー!」と呼ばれて,にこにこ笑って,そうとも,おじさんはパパユーだ,とおどけて見せていたのでした。あとでワケを知って,かなり青ざめましたが。
というわけで,この歌1曲の縁で,カルロスに私はちょっと親しいものを感じていたのでした。
 2008年1月17日,カルロスがガンで亡くなりました。64歳でした。パパユーは合掌します。

1 件のコメント:

Pere Castor さんのコメント...

はい。カルロスはレイシスト(人種差別主義者)との指摘を受けました。その方面ではかなり有名だそうです。カルロスのショート・ジョークをまとめた本(2集あります)が出た時に、その極端な人種偏見ジョークがかなり問題になって、ジャメル・ドブーズ等が猛烈に抗議したことがあるそうです。
そのジョークのひとつを以下に記します。

 (問)人間と動物の境界線はどこでしょう?
 (答)地中海。

 これは笑えませんよね。地中海の北側に住むのが人間で、地中海の南側に住むのが動物と言うのです。ジョークで済ませましょうか。