『娘の記憶』
2026年フランス映画
監督:ジュディット・ゴドレッシュ
主演:テス・バルテレミー、ヴァレリー・ドレヴィル、ヴィクトール・ボネル
原作:アニー・エルノー『娘の記憶』(2016年)
フランス公開:2026年9月30日
時は1958年、ノルマンディー地方の田舎の畜産食料品店の娘アニー(自己紹介の時”17歳半”と強調している)(演テス・バルテレミー)が、夏休みバイトで地方の城館を宿舎とするコロニー・ド・ヴァカンス(子供たちのヴァカンス合宿滞在)のお世話係(アニマトリス)として現地に赴く。窮屈な親元から離れて、ひと夏の間、(子供たちが寝静まったあと)同世代のアニマトゥール/アニマトリスたちといろいろ(いけない遊びも含めて)享楽しよう、あわよくば“出会い”もあるだろう、あわよくば“性体験”もあるだろう、とも思うのだが、聡明で感受性の強いアニーには想像と違う現実があった。同意も不同意もなく“成り行き上”の初の性体験は、天井の電球を見つめるだけの数分間で、結局“失敗”に終わる。それでも逞しい肉体と高圧的で身勝手な性格の男H(アニマトゥールのリーダー、23歳、フィアンセあり、未来の高校教師、演ヴィクトール・ボネル)を恋してしまい、それは成就するわけがない。孤立を恐れ、みんなと同じようでありたい、という弱さのあるアニーは成り行きで夜遊びの中に入り浸って、男たちに弄ばれ、女たちから軽蔑され、それでも…。巨食・拒食・生理不順… 精神を病んで夏は終わり、貧乏な家から独立自立するために、成績抜群にもかかわらず進学を捨てて家庭科教師になると、進路を変えた頃、リセの女哲学教師の講義で実存主義を知り、ルーアンの本屋でボーヴォワール『第二の性』を万引きする…。
あの時代、多くの娘たちが同じような体験をしたかもしれない。決して楽しかったことばかりではなく、“性”のことも含めて、さまざまな抑圧と対峙していた青春期。1968年(5月革命)はその10年先のこと。田舎、封建的でカトリック的な環境、男たちだけが(若くから)勝手にふるまえた時代に生きていた17歳の夏。そういうことがよく浮き彫りにされている映画。テス・バルテレミー、素晴らしい熱演。
カストール爺の採点:★★★☆☆
(↓)『Mémoire de fille 娘の記憶』予告編


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