フランスの春3月の第一次外出制限の時から、このさまざまな制限のキーワードは "Essentiel - Non essentiel"であった。Essentiel(エサンシエル)とは「本質的な、根本的な、最重要な、必要不可欠の、必須の」といった意味の形容詞である。このエサンシエルな施設(役所、銀行、郵便局、医療施設... )やエサンシエルな物品を供給する職業や店舗(農業、食料、薬局、ガソリン、新聞雑誌、酒類、タバコ)は制限令から除外された。しかしノン・エサンシエルと識別された職業はすべて制限令の対象となった。多くの業種が大打撃を被ったが、とりわけカルチャー全般は2020年は何もできなかった1年になってしまった。”カルチャーはノン・エサンシエル?” ー 三十数年間音楽の仕事をしてきた私には心外な問いであるが、私と同意見でない人たちは多い。(↑)12月15日発売のテレラマ誌表紙は舞台と客席のロメオとジュリエット然とした悲しい相愛関係のイラストで「映画館、コンサート、劇場、なければこんなにも寂しい!」と2021年の早期再開を渇望するメッセージ。同誌はその前週号で「12月15日映画館再開」のプログラムで編集されていたのに、それがそうはならないと直前に判断して急に表紙と内容を変えたのだろう。
12月15日に文化関連施設が再開しないと直前に判断した人のひとりがグラン・コール・マラードだった。彼は急遽この"Pas Essentiel"という曲をつくり、速攻でヴィデオ・クリップ(オランピア劇場の舞台を含む。監督メエディ・イディール)を制作し、12月12日にYouTubeその他で公開した。気持ちは本当によくわかる。"アート/カルチャーは二の次"とレッテルは貼られた2020年、これはアート/カルチャーに関わる人々とアート/カルチャーを愛しその重要性がわかっている人々の思いである。
自宅から外に出て歩きだす
ひととき立ち止まって空を見上げる
すると太陽が屋根の上に金色の反射をつけていく
僕はそれを見るのが好きだ、それが必須のことじゃないと知ってても
そしてベンチに座って、自分自身と5分間向き合う
人々をながめる、それが複数に再生していく
僕は無言で語り、大袈裟に微笑む
これを僕は長時間できるんだ、それが必須のことじゃないと知りながら
やがて僕はその日の自分の映画のサウンドトラックが欲しくなるのさ
そして僕は両耳にサウンドをつめていくんだ
ポケットの中にはいっぱい手があって、両目は愛でいっぱいだ
これは大切な時間なんだ、それが必須のことじゃないと知ってても必須じゃない
必須じゃない
必須じゃないだれかにキスすること:必須じゃない
本を開くこと:必須じゃない
とっておきの微笑みをすること:必須じゃない
コンサートに行くこと:必須じゃない
森を散歩すること:必須じゃない
パーティーで踊ること:必須じゃない
友人たちと再会すること:必須じゃない
舞台芸術は...?必須じゃない
必須じゃない
必須じゃない
あまりカラフルじゃない数ヶ月が過ぎて
モノクロな外出制限、そして虹色の解放宣言がやってくる
そしたらたくさんの歌と微笑みと花を捧げよう
僕は両手にいっぱい持っているよ、だってそれは必須のものじゃないから
最初に来た人たちと乾杯しよう
パーティーするなら、家族や友だちや知らない人たちとでも
僕はできちゃうよ
そして必須じゃないことを祝福して杯をあげよう
人生は余分なものの連続なんだから
みんなうすっぺらで超バカげたままでいようよ
くだらなさを大切にしよう、このことについて結論すれば
この歌に耳を貸さないで、だってこれは必須じゃないから
必須じゃない
必須じゃない
必須じゃない
だれかにキスすること:必須じゃない
本を開くこと:必須じゃない
とっておきの微笑みをすること:必須じゃない
コンサートに行くこと:必須じゃない
森を散歩すること:必須じゃない
パーティーで踊ること:必須じゃない
友人たちと再会すること:必須じゃない
舞台芸術は...?
必須じゃない
必須じゃない
必須じゃない
(↓)グラン・コール・マラード "Pas Essentiel”、オフィシャルクリップ。
0 件のコメント:
コメントを投稿