2017年12月26日火曜日

路地で生まれたんだから

Johnny Hallyday "Je suis né dans la rue"(1969)
ジョニー・アリデイ「俺は路地で生まれた」

 ョニー・アリデイ(1943-2017)の数あるアルバムの中で、ROCK & FOLK誌、レ・ザンロキュプティーブル誌、リベラシオン紙などが「ロック・アルバム」として最上級の評価を捧げている "RIVIERE... OUVRE TON LIT"(1969年)のアルバム最終曲(B面5曲め)で、シングルカットもされた。サイケデリック期のアルバムで、録音はロンドン録音(サウンドエンジニアにグリン・ジョンス)、音楽監督はミッキー&トミー(ミック・ジョーンズとトミー・ブラウン)、ジョニーのバンドの他に、スティーヴ・マリオット(フェイセズ)、ロニー・レイン(フェイセズ)、ピーター・フランプトン(ハード)が参加しており、この録音セッションで意気投合したスティーヴ・マリオットとピーター・フランプトンがのちにハンブル・パイを結成したということになっている。
 この曲「俺は路地で生まれた」は、フランスの黎明期ロックンローラーでありジョニーのデビュー前からのダチであったロング・クリス(1942 - )が詞を書き、ミック・ジョーンズとトミー・ブラウン(すなわちミッキー&トミー)が作曲したもの。「俺の名前はジャン=フィリップ・スメ、あんたたちにはジョニーの名でよく知られている」と始まる、自伝的なテクストだが、この歌がジョニーの「ストリート伝説」の元。貧困、父の蒸発、不良時代、すべて歌詞の中に入っている。これが神話となって、どん底から生まれたスター、ワーキングクラス・ヒーロー、路地に生きる若者たちの兄貴分になっていくのであるが....


俺の名前はジャン=フィリップ・スメ
パリ生まれさ
あんたたちには
ジョニーって名前でよく知られている
1943年6月のある夜
俺は路地で生まれたのさ
嵐の夜にね

俺は都市に生まれた
壁はみんな灰色で
空き地の裏には
あばら家ばかり
ブリキのゆりかごの中で
俺は大きくなった
俺が笑うことを知らないったって
驚いちゃいけないぜ
俺は路地で生まれたんだから

夜になったら家に帰れって言う
父親は俺にはなかった
母親はしょっちゅう
夜中働いていた
俺は舗道に座って
ギターを弾いていた
石ころみたいな心で
俺の人生は始まった
俺は路地で生まれたんだから

俺のやりたい人生を通すために
俺は闘わなければならなかった
俺の人生を守るためには
もっともっと俺は闘わなければならなかった
都市の四方八方から俺は追われていたんだから
両の拳はいつも固く握られたまま
あれから俺は変わってないぜ
俺は路地で生まれたんだから

今や俺は灰色の壁ばかりの街に
住むのをやめてしまった
俺の名前は銀色に輝き
俺はギターは金色だ
俺の昔の歌は
今も同じさ
だけど夜になれば
俺は路地に戻っていくのさ
俺は路地で生まれたんだから

今や人々は俺に敬意を払い
俺は王様たちと夕食する
俺の友人になる人を選んでくれて
最良の人たちばかりを集めてくれ
俺を変えてやろうとしたんだ
だけどそれは無理な相談だ
あんたたちの時間の浪費に過ぎない
俺は路地に戻っていくさ
俺は路地で生まれたんだから

だって俺は路地で生まれたんだから
そうとも路地で生まれたんだ
路地でね

(↓)「俺は路地で生まれた」1969年ヴァージョン(リードギター:スティーヴ・マリオット)


(↓)「俺は路地で生まれた」2000年エッフェル塔ライヴ(リードギター:ロビン・ル・ムジュリエ、ブライアン・レイ)

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