ザ・デルス「ラヴ・イズ・ブルー」
1968年シングル
1968年アルバム "Love is blue"
楽曲「恋はみずいろ L'amou est bleu」(詞ピエール・クール/曲アンドレ・ポップ)の初お目見えは1967年4月8日ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト(於ウィーン/ホーフブルク王宮)であった。同コンテストにルクセンブルク大公国代表として出場したヴィッキー・レアンドロスがフランス語(オリジナル)で歌い、出場17カ国17曲のうち、第4位に終わった。ピエール・クールのフランス語詞は
このように、他愛もないラヴソングであり、この青色=ブルーはポジティヴな恋の色として描かれている。この同じ年1967年にヴィッキー・レアンドロスはこの歌を英語でも吹き込んでいる。タイトルは(”Love is blue"ではなく!)"Colours of love"で、英語詞はイギリス人劇作家/作詞家ブライアン・ブラックバーン(Bryan Blackburn 1928 - 2004)が書いている。このブラックバーン詞というのが、オリジナルのピエール・クール詞を全然リスペクトしていないのですよ。
ここで余談であるが、ヴィッキー・レアンドロス/ユーロヴィジョンの4ヶ月後、1967年8月に森山良子「恋はみずいろ」(日本語版)がリリースされる。日本語詞はその道の大偉人、漣健児(さざなみけんじ 1931 - 2005)で、これもオリジナルのピエール・クール詞とはかなり違いがあるものの、「青い海と水色の空が愛し合ってひとつに結ばれる」という名パンチラインで「青」という色はハッピーでポジティヴなカラーになっている。またこの歌と直接の関係はないものの、題が似てしまった天地真理(白雪姫)デビュー曲「水色の恋」(1971年)は失われた恋を歌っていて、この「水色」は英語的なネガティヴなブルーになっているのね。面白いでしょ。
… Doux, doux, l'amour est doux
甘く、甘く、恋は甘く、
Douce est ma vie, ma vie dans tes bras
あなたの腕の中にある私の人生は甘美なもの
Doux, doux, l'amour est doux
甘く、甘く、恋は甘く
Douce est ma vie, ma vie près de toi
あなたのそばにいる私の人生は甘美なもの
… Bleu, bleu l'amour est bleu
青く、青く、恋は青く
Berce mon cœur, mon cœur amoureux
私の恋する心を優しく揺らす
Bleu, bleu, l'amour est bleu
青く、青く、恋は青く
Bleu comme le ciel qui joue dans tes yeux
あなたの瞳の中でゆらめく空のように青い
… Comme l'eau
水のように
Comme l'eau qui court
流れる水のように
Moi, mon cœur
私、私の心は
Court après ton amour
あなたの愛を追いかける
… Gris, gris, l'amour est gris
グレー、グレー、恋はグレー
Pleure mon cœur lorsque tu t'en vas
あなたが去ってしまうと私の心は泣いてしまう
Gris, gris, le ciel est gris
グレー、グレー、空は灰色
Tombe la pluie quand tu n'es plus là
あなたがいなくなると雨が降ってくる
… Le vent, le vent gémit
風、風が騒ぐ
Pleure le vent lorsque tu t'en vas
あなたが去ってしまうと風も泣いてしまう
Le vent, le vent maudit
風、呪われた風
Pleure mon cœur quand tu n'es plus là
あなたがいなくなると私の心は泣いてしまう
… Comme l'eau
水のように
Comme l'eau qui court
流れる水のように
Moi, mon cœur
私、私の心は
Court après ton amour
あなたの愛を追いかける
… Bleu, bleu, l'amour est bleu
青く、青く、恋は青く
Le ciel est bleu lorsque tu reviens
あなたが戻ってくると空は青い
Bleu, bleu, l'amour est bleu
青く、青く、恋は青く
L'amour est bleu quand tu prends ma main
あなたが私の手を取ると恋は青い
… Fou, fou, l'amour est fou
狂おしく、狂おしく、恋は狂おしく
Fou comme toi, et fou comme moi
あんたかてあほやろ うちかてあほや
Bleu, bleu, l'amour est bleu
青く、青く、恋は青く
L'amour est bleu quand je suis à toi
恋は青く、私はあなたのもの
L'amour est bleu quand je suis à toi
恋は青く、私はあなたのもの
このように、他愛もないラヴソングであり、この青色=ブルーはポジティヴな恋の色として描かれている。この同じ年1967年にヴィッキー・レアンドロスはこの歌を英語でも吹き込んでいる。タイトルは(”Love is blue"ではなく!)"Colours of love"で、英語詞はイギリス人劇作家/作詞家ブライアン・ブラックバーン(Bryan Blackburn 1928 - 2004)が書いている。このブラックバーン詞というのが、オリジナルのピエール・クール詞を全然リスペクトしていないのですよ。
Blue, blue, my world is blue
ブルー、ブルー、私の世界はブルー
Blue is my world, now, I′m without you
あなたがいなくなった今、私の世界はブルー
Gray, gray, my life is gray
グレー、グレー、私の生活はグレー
Cold is my heart since you went away
あなたが去ってから私の心は冷たい
Red, red, my eyes are red
赤く、赤く、私の両目は赤い
Crying for you alone in my bed
一人のベッドであなたを求めて泣き叫んでいる
Green, green, my jealous heart
私の嫉妬深い心は緑色
I doubted you, and now, we're apart
あなたを信じられず、私たちは離れ離れに
When we met, how the bright sun shone
私たちが出会った時、なんて明るい太陽が輝いていたことか
Then love died, now, the rainbow is gone
そして恋は死に、虹は去ってしまった
Black, black, the nights I′ve known
ブラック、ブラック、私が一人過ごす夜はブラック
Longing for you, so lost and alone
あなたが恋しくて、絶望的で孤独
Down, down, the love we knew
私たちが知っていた恋は、転落してしまった
Blue is my world, now, I′m without youという失恋・悲嘆・絶望のブルーになっている。本来英語圏ではブルーはネガティヴな色で、憂鬱、塞ぎの虫、意気消沈を表すカラーなので、「恋は青」という主題ではこうなってしまうのだろうが、幸せのブルーを歌っているフランス語オリジナルをこれほどまでに無視していいのだろうか。
あなたを失った今、私の世界はブルー
ここで余談であるが、ヴィッキー・レアンドロス/ユーロヴィジョンの4ヶ月後、1967年8月に森山良子「恋はみずいろ」(日本語版)がリリースされる。日本語詞はその道の大偉人、漣健児(さざなみけんじ 1931 - 2005)で、これもオリジナルのピエール・クール詞とはかなり違いがあるものの、「青い海と水色の空が愛し合ってひとつに結ばれる」という名パンチラインで「青」という色はハッピーでポジティヴなカラーになっている。またこの歌と直接の関係はないものの、題が似てしまった天地真理(白雪姫)デビュー曲「水色の恋」(1971年)は失われた恋を歌っていて、この「水色」は英語的なネガティヴなブルーになっているのね。面白いでしょ。
そして翌年1968年、ポール・モーリア楽団のインストルメンタル曲として発表されたこの曲は全米チャートNo.1という大偉業を成し遂げてしまう。このアメリカ発売時にこの曲は”Love is blue”というタイトルになっている。以来、この曲の英語タイトルは”Love is blue”として定着するのである。で、全米でたいへんポピュラーになってしまった「ラヴ・イズ・ブルー」は、アル・マルティーノ、ジョニー・マティスと続々とカヴァーヴァージョンがリリースされるが、歌詞は(↑の)ブライアン・ブラックバーンの英語詞であり、「ラヴ・イズ・ブルー」は失恋ブルーのスタンダード曲に昇格していく。その1968年のカヴァーで一つ例外的なのが、当時破竹の勢いのヒットレコード会社A&Mからリリースされたフランス出身歌手/女優のクローディーヌ・ロンジェ(1942 - 2026、この原稿を書いている時に逝去しました、合掌🙏)の「ラヴ・イズ・ブルー」で、歌部分はピエール・クールのフランス詞で歌われ、間奏部分で、my life is sad, love is goneと英語で失恋ナレーションが導入される”ハイブリッド”編曲、全米71位の健闘。
さて本稿の主役、米国イリノイ州出身のドゥワップ/R&B5人組ヴォーカルグループ、ザ・デルス、1954年レコードデビュー、1956年「おおわらないと Oh what a nite」でブレイク、続々とヒットを飛ばし、ドゥワップを背負って立つ看板グループに。で、1968年にポール・モーリア「ラヴ・イズ・ブルー」人気にあやかって...。まあ、ちょっと、よそのアーチストたちのカヴァーとはえらく違うヴァージョンになりました。「ラヴ・イズ・ブルー」という色彩をモチーフにした歌に、もうひとつ虹の七色を歌った歌「アイ・キャン・シング・ア・レインボウ」(Red and yellow and pink and green / Orange and purple and blue / I can sing a rainbow/ Sing a rainbow / You can sing one too! ) をマッシュアップ。後者は童謡として広く親しまれていて、1955年の映画『ピート・ケリーのブルース』でペギー・リーによって歌われ、心地良い子守唄に。この二つをメドレー化することで、たくさんの色が登場する歌になってしまったのね。そのマッシュアップ歌詞(緑字 I Can sing a rainbow / 青字 Love is blue )をそのままコピペ。
[Intro]
Red and yellow and pink and green
Purple and orange and blue
[Chorus]
I can sing a rainbow
(I can sing a rainbow)
I can sing a rainbow, too
Woo-woo
[Verse 1]
Blue
Blue, blue my world is blue
Blue is my world now I'm without you
Gray
Gray, my life is gray
Hole in my heart since you
Since you went away
Ah yeah
Oh yeah, yeah
[Chorus]
I can sing a rainbow
(I can sing a rainbow)
Sing a rainbow
I can sing a rainbow
[Verse 2]
(Red) Red
Red my eyes are red
Crying for you alone in my bed
Green
So green my jealous heart
I doubted you and now
Now we are apart
Oh yeah
Oh yeah
[Bridge]
When we met
How the proud sun showed
Then love died
Now the rainbow is gone
[Verse 3]
(Black)
Oh black (Oh)
The nights I've known
Longing for you
Lost and alone
God
Oh God
The jealous love for you
Blue is my world
Now I'm (Hey, hey, I said hey)
Now I am without you, baby
[Outro]
Blue, blue
My world is blue, baby
(I love you baby)
Now that we're apart
(I love you, baby)
My world is blue, baby
(I want you, baby)
Hole in my heart
(I need you, baby)
My world is blue, baby
(My world is so blue)
My world is blue, baby
(I need you, baby)
Hole in my heart
(I want you, baby)
My world is blue, baby
(I love you)
聴きましたか? あっと驚く失恋慟哭バラードに変貌してしまったんです。このシングルは全米ビルボードHot100で最高22位、ビルボードR&Bシングルチャートで5位、オランダで10位、アイルランドで18位、UKで16位,.. というヒットになってしまった。このヴァージョンはアンドレ・ポップ自身がかなり高く評価していて、この出来を褒めちぎっている。そりゃあ、ヴィッキー・レアンドロスのオリジナルからはずいぶんと遠くに来た感はあるが、これは名曲の名演として歴史に残るであろう。
『華麗なるアンドレ・ポップの世界』次回を刮目して待て。
*** ボーナス ***
(↓)2026年(第70回)ユーロヴィジョン・ソングコンテスト(於ウィーン)の準決勝(5月12日)のオープニングソングとして「恋はみずいろ」(詞ピエール・クール/曲アンドレ・ポップ)、70人のコーラス隊を従えて、1967年にこのウィーンで歌ったヴィッキー・レアンドロスその人が登場(このYouTube4分14秒めから)。前フレ/イントロがやたら長い動画だけど、ヴィッキーが見えたら涙がほとばしり出た。生きててよかった🙏 L'amour est bleu quand je suis à toi ❤️❤️❤️

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