フ〜!シャタートン「コート・コンコルド(コスタ・コンコルディア)」
史実:2012年1月13日(金曜日)、乗客乗組員合わせて4300人を乗せたイタリア国籍の豪華客船コスタ・コンコルディア号が、地中海クルーズの初日の夜、イタリア・トスカーナ海岸に近い島、ジリオ島の岸辺近くで座礁して転覆するという事故を起こしました。この事故に関しては日本語版ウィキペディアの「コスタ・コンコルディアの座礁事故」の項に非常に詳しい記述があるので、参照してください。日本人乗客も43人乗り合わせていたそうで、日本でも大きく報道されたかもしれません。上のウィキに書いてあるように、これは船長がいいかげんで、ジリオ島島民とジリオ島出身の乗組員にええかっこするために、わざと島に非常に近い海路を取ったこと、事故当時船長が女性たちと飲酒していたこと、事故が発覚した時乗客よりも先に船を捨てて逃げたこと、責任逃れのためにわざと遭難信号を出すのを遅らせたこと、など、このひとりの男のために起こった大惨事なのでした。死者32人。
これをわれらが5人組、フ〜!シャタートンがドラマチックな歌にしたのです。そのファーストフルアルバム『ICI LE JOUR (A TOUT ENSEVELI) ここでは日の光(がすべてを覆いつくした)』(2015年)の中に収録されています。このバンドの並外れた表現力がよく納得できるでしょう。グラン・ジャック・ブレルを想わせます。
タイトルおよび歌詞では「コスタ・コンコルディア」の仏語直訳の「コート・コンコルド」(調和海岸)としているので、敬意を表して、歌詞和訳も「コート・コンコルド号」としておきました。
雨が降る、ジリオに雨が降る
トスカーナ海岸の
古く退屈な村
AAA級の莫迦野郎
おまえのことなど忘れてしまえばいいんだ
D某ストロース・カーンのように
あの金曜日、
新聞は大きな活字の見出しで書いた
時間が膨張した
景色の中に引かれた道路のような
事故っぽい文章で
雨が降る、ジリオに雨が降る
13日の金曜日
コート・コンコルド号の船上で
高慢な船長が
遭難信号を放つのを遅らせたのだ
信号を放つのを
入り江のすぐ近くで
船はゆらゆら揺れた
砂丘の上でひとりの男が
客船が沈んで行くのを面白がって見ていた
天から何本ものロープが下りて来た
それをよじ上るべきなのか、それともそれで首を吊れと言うのか
コート・コンコルドの甲板で
その夜、5つ星が消えてなくなった
出不精のあばら家住人たちが
国から出て物見遊山に出たら
こんなことが起こるんだ
岸を間近にした威風堂々の行進
だが、乳白色をした水は
歯抜けではなかったのだ
小さな岩がおまえの航路に
入り込もうとしたんだ
半分眠りかけていた海賊だったが
おまえの気違いじみたネオン光と
おまえの財布のジャラジャラ言う音に
眠りを何度も邪魔されて
それはおまえに噛み付いた
おまえの内側を咬み込んだ
これは天がたくらんだことか?
食い込んだ石が原因の
船舶の沈没?
その重くなった太鼓腹への一撃で
ジャクジに、スロットマシーンに
水が押し寄せた
水が押し寄せた
天から何本ものロープが下りて来た
それをよじ上るべきなのか、それともそれで首を吊れと言うのか
コート・コンコルドの甲板で
その夜、5つ星が消えてなくなった
入り江のすぐ近くで
船はゆらゆら揺れた
砂丘の上でひとりの男が
客船が沈んで行くのを面白がって見ていた
(FEU! CHATTERTON "COTE CONCORDE")
(↓)LIVE DEEZER SESSION 2014のヴァージョン
(↓)LE FIGARO LIVE 2015のヴァージョン
1 件のコメント:
Enchanteでございます。
GILLES ROSINE をFrance MusiqueのPodcastで聴いてかっこいいな、
と探しているうちに貴ブログにたどり着きました。
このグループ、かすれたヴォーカルで渋いです。
シャンソン、今はvarieteというのでしょうか、普段私は全然聴かないのですが、
歌詞の韻、sinifiationを感じられれば、興趣募るものですねぇ・・
私は9月に娘の結婚式でパリに参りました。
初秋の空の青さとともに、この歌のような陰鬱さが沈澱している街、
そのように茫然としながら思い出されます。
カストール様、時折お邪魔させていただければ幸甚です。
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