2010年4月5日月曜日

負けるなニッサ



GIGI DE NISSA "GIGI DE NISSA"
ジジ・デ・ニッサ『ジジ・デ・ニッサ』


 ジジ・デ・ニッサことルイ・パストレーリは,オクシタニアのファーイースト,ニースの人。グラフィック・アーチストとして廃屋車庫を(不法)占拠して仲間たちとアート・イヴェントを展開していたところ,それがどんどん拡大し,さらに,過度に商業化/観光化して地元住民と縁が薄くなったニース・カーニバルに背を向け,地域住民で独立カルナヴァルを組織します。そのパレードの音楽を鳴らすために,マルセイユのマッシリア・サウンドに倣って結成されたサウンドシステムが「ニュックス・ヴォミカ」でした。また地元サッカー・チームOGC NICE(フランス1部リーグです)のオフィシャル応援歌の作者でもあり,2008年地方選挙(市町村長および市長村議選出)では,長年のゴチゴチの保守(金権)市政に対抗する左翼連合リストに自らも名を連ね,その選挙キャンペーンソング(女優ソフィー・デュエーズとのデュエット)の作詞作曲・歌も担当しました(選挙は僅少差で破れましたが)。
 このルイとニュックス・ヴォミカをその発端から支援していたのが,マッシリア・サウンド・システムのMCタトゥー,またの名をムッスー・Tで,ニュックスをマッシリアの弟バンドのように扱っていました。そのムッスー・Tが,マッシリアとの別プロジェクトで,1920年代マルセイユの「ラグタイム」「ブルース」にインスパイアされたアコースティック・バンド「ムッスー・T&レイ・ジューヴェン」を始めたのが2006年のこと。これをきっかけにムッスー・Tは自らのレーベル,マニヴェット・レコーズを設立します。マニヴェットは好調にムッスー・T&レイ・ジューヴェンのアルバムを既に4枚発表しています。
 そしてムッスー・Tは弟分のルイに声をかけ,エレクトロ・サウンド・システムであるニュックスとは違う,アコースティック・アルバムの制作を持ちかけます。マルセイユの隣の港町ラ・シオタのムッスー・T自宅のホームスタジオで,このアルバムは足掛け3年かかって作られました。プロデューサー・ムッスー・Tの色濃いレイ・ジューヴェン・サウンドと思いきや,それだけではない,ルイが強烈に引き継いでいるトロピカル(コート・ダジュール)テイストやイタリア風味,そしてルイの奥さん(ブラジル人)譲りのラテン趣味などがほどよく混じった
カクテルサウンドです。甘い鼻声のルイのクルーナー・ヴォーカルでほんわかムードがひときわ。レイ・ジューヴェンとひと味違うオクシタンレイドバック・ミュージックです。7曲めで作曲とヴォーカルでムッスー・Tも参加。加えてルイが敬愛するニースのオクシタン・フォークの先達、ジャン・リュック・ソーヴェゴの作品が2曲(うち1曲はソーヴェゴとのデュエット)。
 ニッサ・ラ・ベッラ、山と海に挟まれた麗しの町ニースの、ちょっと年寄りで、不思議にコスモポリタンな味わいをお楽しみください。

< トラックリスト >
1. ES BON (LOUIS PASTORELLI)
2. DEVANT TON JOURNAL (LOUIS PASTORELLI)
3. COCHA CAREMA (JEAN-LUC SAUVAIGO)
4. COURS SALEYA (LOUIS PASTORELLI)
5. GIGI DE NISSA (LOUIS PASTORELLI)
6. SUS LA GRAVA (TRAD/LOUIS PASTORELLI)
7. AU GRAND SOLEU (duo with MOUSSU T)
(FRANCOIS RIDEL, STEPHANE ATTARD)
8. LEONORA (LOUIS PASTORELLI)
9. LOU ROUSSIGNOU (duo with JANLUC SAUVAIGO)
(JEAN NICOLA/MARIUS AUSELLO)
10. USONAC (LOUIS PASTORELLI)

GIGI DE NISSA "GIGI DE NISSA"
CD MANIVETTE RECORDS 000615
フランスでのリリース:2010年4月26日



PS 1 (5月19日)
(↓)2010年3月,ニース,ブラックボックスでのライヴのヴィデオ

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