フェイスブック友だちのロールが、おととい唐突にピンク・フロイドの"Goodbye Blue Sky"(THE WALLの中の1曲です)の歌詞を引用したことに即座に反応してしまいました。ピンク・フロイド"THE WALL"はCDで持っていません。アラン・パーカーの同名映画もビデオやDVDは持っていませんが、映画館で少なくとも3回は見たはずです。アルバムはダブルLPで、文字通り擦り切れるほど聞いていた記憶があります。で、またダブルLPを出して昨日しっかり聞き直してしまいました。
このアルバムの中で「ヴェラ」という歌があります。ロジャー・ウォーターズが歌うと「ヴィ〜ラ〜」と聞こえますね。この歌の話は結構有名ですから、知っているムキもありましょうが、ヴェラ・リン(1917 - )という第二次大戦中にイギリス軍兵士たちの心の恋人(Force's sweetheart)と呼ばれ、大変な人気を博した女性歌手のことを歌っているんですね。このヴェラ・リンの有名な歌で「また会いましょう We'll meet again」というのがありまして、戦友たちにいつかどこかは知らないけれど、陽光の下でまた会おう、と歌ってるような歌詞です。
これをロジャー・ウォーターズは、誰かヴェラ・リンのことを覚えているやつはいるか、あの女は、俺たちがいつかまた再会できると歌っていたんだぜ、バカヤロー...というような恨み節にしてしまったんですね。
(↓ 1980年アラン・パーカー映画『ピンク・フロイド - ザ・ウォール』の中の「ヴェラ」)
このヴェラ・リンの"We'll meet again"は、1964年のスタンレー・キューブリック映画『博士の異常な愛情』のラストシーンで、全世界で核爆発のきのこ雲が上がっている中でこの歌が流れるというのでも有名になりました。
また1954年にヴェラ・リンは "It hurts to say goodbye"という歌を吹き込んでいます。
この歌がその14年後に、セルジュ・ゲンズブールによる「超翻訳」の訳詞をされて、"Comment te dire adieu"(邦題「さよならを教えて」)となってフランソワーズ・アルディに歌われた、ということは言うまでもありまっせん。
(*)記事タイトルの解説です。ちょっと衒学的でごめんなさい。わしらが仏文科学生だった頃はちょっとカルト化されてた19世紀フランスの象徴主義作家オーギュスト・ド・ヴィリエ・ド・リラダンの幻想中編小説『ヴェラ』の有名なフレーズです「ヴェラを見た者は愛さずにはいられないだろう Qui verra Véra l'aimera」
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2020年6月18日追記
英国の国民歌手ヴェラ・リンが2020年6月18日、103歳で亡くなりました。100歳過ぎても現役で、戦時から英国の希望の象徴とされた代表曲"We will meet again"を歌い続けた。英紙ザ・ガーディアンによるYouTube投稿(↓)ヴェラ・リンと"We will meet again"へのオマージュ。
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