ジョニー・ア(ハ)リディ『夜をかえして』
詞:シャルル・アズナヴール
曲:ジョルジュ・ガルヴァレンツ
1962年制作、オムニバス映画『レ・パリジエンヌ(Les Parisiennes)』は、4人のパリジエンヌのショートストーリーを4人の映画監督が描くというもので、そのうちの第一話「ソフィー」は監督が巨匠マルク・アレグレ、主演カトリーヌ・ドヌーヴ(18歳)です。多感なリセ生ソフィーは、友だち仲間には、もうヴァージンじゃないのよ、恋人がいるのよ、と言いまくっている。半信半疑の女の子たちは、その現場をおさえるべく、夜、ソフィーを密かにつけていく。その実、ソフィーは恋人なんかおらず、その夜は無二の親友のところで過ごしている。なあんだやっぱりウソじゃん、と女の子たちは...。ソフィーは親にばれないように家に帰るために屋根づたいに。その途中、ある窓から貧乏なギタリスト、ジャン・アラール(ジョニー・アリディ。18歳)の姿が見える。恋の始まり。その夜ジャンはソフィーに、この夜をとどめておいて、Retiens la nuit、と歌うのです。
世界の終わりまで
僕たちふたりのこの夜をとどめておいて
僕たちの心のために、落ち着かなくせわしない時だけど
この夜をとどめておいて
きみの体で
僕をつよく抱きしめておくれ
狂おしい時
大恋愛は日が昇るのを止め
僕たちに生きることすら忘れさせてくれるはず
この夜をとどめておいて
きみとならば夜は美しい
この夜をとどめておいて
恋人よ、夜は永遠になる
僕たちのふたつの心の
幸せのために
時を止めておくれ
お願いだから
永遠に
この夜をとどめておいて
聞かないで、僕の悲しみがどこから来るかなんて
何も聞かないで、きみにはわからないことだから
恋と出会って、僕は遭難しそうになっている
この幸せを信じたら、恐怖は喜びの中に消えてしまう
世界の終わりまで
僕たちふたりのこの夜をとどめておいて
僕たちの心のために、落ち着かなくせわしない時だけど
この夜をとどめておいて.....
さすがアズナヴール/ガルヴァレンツの曲と言うべきか。美しくもパッションもりもりの歌ではありませんか。18歳のドヌーヴ、18歳のアリディ。この夜、忘れるもんですか!
それにしてもこの日本語題「夜をかえして」はひどい。ちゃんとフランス語読める人なんかいなかったんだな、当時のビクター音産は。しかし日本語でも「夜をかえして」は女性の側からしか言えないセリフでしょ? それも男の裏切りというコンテクストがないと出てきようがないセリフ。かえせと言われてもかえせるもんじゃないですが。ドラマがとたんにまったく別物になる邦題。責任重いと思いますよ。
(↓)映画『レ・パリジエンヌ』(1962年)「ソフィー」篇の断片。ジャン・アラール(ジョニー・アルディ)がソフィー(カトリーヌ・ドヌーヴ)に歌う RETIENS LA NUIT。
PS
(↓)同じ映画から。ジャン・アラール(ジョニー・アリデイ)が夢想する晴れ舞台で歌う "SAM'DI SOIR"(邦題「土曜の夜のツイスト」)。ソフィー(カトリーヌ・ドヌーヴ)がツイストを踊る。うまいツイストです。
0 件のコメント:
コメントを投稿