2013年4月11日木曜日

フクシマ モナムール

4月10日、雨の中、バスチーユのカフェ・ド・ラ・ダンスでケントのコンサートに行って来ました。カフェ・ド・ラ・ダンスはキャパシティー500人と言われていますが、ずっとメジャー・シーンにいた人なのでこれくらいの会場はすぐにソールドアウトになってしまう。パリ中のケントのファンが結集するわけですから。ケントは今年56歳で、リヨンのパンクバンド「スターシューター」の頃(70年代)からメジャーなアーチストでしたし、アコースティックなシンガー・ソングライターに転身してからも"J'aime un pays"、"A nos amours"、"Tous les mômes"、"Les vrais gens"のような、全国FMでがんがんかかるヒット曲がたくさんありました。会場を見回して、大体が40・50・60代の中高年ばかりなので、この人たちは(新アルバム "LE TEMPS DES AMES"の曲を除いて)全部歌詞を暗記していて唱和できるはずだと見ました。
 当夜のケントはそういうファン・サーヴィスはもちろん外さず、往年のヒットチューンをところどころにはさんでのショー展開ですが、なにしろ新アルバムがドイツ人ピアニストのマルク・オースマンとの「ピアノ+ヴォーカル」デュエットのみ、というもので、ステージの上にはこの二人だけ。マルク・オースマンは叙情的と言いますかリリカルと言いますか、そういう雰囲気をつくることに長けたピアニストで、例が適当かどうかわからないけれど、"LES INTOUCHABLES"サントラを手がけた伊人ピアニスト、ルドヴィコ・エイナウディみたいなところもある人だなあ、と聞いてました。たしかにピアノは聞かせどころ多かったです。ケントもずいぶんこのピアニストを立てていましたね。
 私はと言えば、もちろんこの新アルバム"LE TEMPS DES AMES"の中の曲を聞きたくて行ったのですが、その中でも "Face à la lumière"(光と向かい合って)という曲が一番気になっていたのです。↓これはその曲の録音の様子を紹介している動画です。

 後日クリップみたいなのが発表されたらまたここに貼りますけど、今はないので曲を紹介できないのが残念ですが一種の反核・反原発のプロテストソングです。歌詞はこんな感じです。
FACE A LA LUMIERE
光と向かいあって

人はもうかれこれ長いこと
光と向かいあっている
それが欲しくて人は石を叩いて打ち
雷を生け捕ろうとした
それを取り合ってわれらは攻撃を受け
われらの兄弟を殺した

宇宙を渡る蝶のような
光に近づきたくて
夜の境界線を
向こうに押しやりたくて
人は谷に降りていき
学校で勉強した
人は狂人たちを追い出し
その偶像を破壊し、
人は新しい区々をつくり
大都市を建設した

ステンドグラスの反射のような
光に近づきたくて
夜の境界線を
向こうに押しやりたくて

かがり火、キャンドル、
ハロゲンランプ、
蛍光灯、街灯
ライトショー、レーザー光線
火炎の思想
原子の熾き火

もっともっと光を得て
宇宙を圧倒したくて
夜の境界線を
向こうに押しやりたくて

真夜中を過ぎても真昼のように明るい都市
すごいことだよね
フクシマ、モナムール (福島、私の恋人よ)
この光を前にして
この光と向かい合って
この光に
おまえは何と言う

 この夜、この歌で震えたのは私だけではないと信じます。ありがとうケント。

(↓)"FACE A LA LUMIERE"
(Spotify)

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