2008年1月22日火曜日

Allain Leprest is alive and well and living in Paris




 1月21日,朝10時半,メニルモンタンのカフェでランデヴー。フランスはこの1月1日からカフェやレストランの店内でも喫煙が許されなくなったので,ルプレスト氏はまず寒いカフェ・テラスに座って,生ビールを頼んで「煙草一本吸ってから中に入るから,ちょっと待っててくれ」と。
 こうして煙草(両切りゴーロワーズ)1本の甘美な時間を終えて,当代最も重要なシャンソン詩人は爺の前にゆっくりと腰を下ろしたのでした。私の最初の質問は,フランス語初級会話の最初に教わる質問。これは難しい質問です。私はいろんな答の可能性を待っていて,とても気が重い質問でした。

Comment allez-vous ? 

 詩人はにっこり笑って,8ヶ月前の脳腫瘍手術後の経過がとても良いことを話し始めました。脳外科医も信じられないほどの回復力だそうです。実は私は違うこともたくさん聞いていたので,とても構えていたのです。しかし目の前にいるアランは元気そうでした。よくしゃべるし,よく笑うし,話し上手。ノルマンディーでの少年時代のこと,下町と郊外のこと,シャンソンのこと,アコーディオンのこと,アルチュール・ランボーのこと,ブレルやフェレのこと,アルバム『シェ・ルプレスト』の第二卷と第三巻のこと....30分の予定で会ったのに,気がついたら1時間半いろいろ話してくれました。
 このために先週末オリンパスのディクタフォーン(ヴォイス・レコーダー)を買ったのですが,きのうの夜,帰宅する車の中で録音を聞き直してみたら,爺の何年たってもあいかわらずの下手なフランス語にはあきれてしまうけれど,すごく濃い話をしていたのだなあ,と詩人の言葉に改めて感動したのでした。Mille merci au poète。
 このインタヴューはまとめて「ラティーナ」次号に寄稿する予定です。ぜひ読んでみてください。

PS : (↓)に貼付けたのは TACETレーベルから出たアラン・ルプレストのトリビュート・アルバム『シェ・ルプレスト』のプロモーション・ヴィデオです。
CHEZ LEPREST 

 

6 件のコメント:

  1. これはまた良い写真ですね!
    ぐっときました。
    瀬戸内より。

    返信削除
  2. おお,エスカさんは今日本ですか。
    ゲストよりも爺の方がでかく映っている写真ですみません。(撮影:タカコバーママ)
    「不死鳥」と呼ばれたF1レーサー,ニキ・ラウダ。そういう顔しているんですよ。ルプレストも不死鳥ではないでしょうか。

    返信削除
  3. 素敵!!!G&G!(爺&爺)
    ラティーナは連載ですか?
    楽しみにしておりますね。

    雪の東京より愛をこめて

    返信削除
  4. おお、さなえもんは雪まみれですか。
    アラン・ルプレストは爺と同い年(1954年生)です。アルチュール・ランボー(1854-1891)の話になった時に、俺たちはランボーと100年の距離があるんだ、ってな同世代連帯がありました。アランはランボーのことを「Météore」(メテオール:流れ星。転じて彗星のごとき人物または現象)という言葉で言ったのだけれど、私にはこれが「酩酊王」と聞こえたのでした。
    今週末かけて、ちゃんとした原稿を書くので、待っててね。

    返信削除
  5. ラティーナの原稿読みました。
    とても感動しました。
    日航ジャンボ機の墜落のニュースを聞いた
    アラン・ルプレストが書いた短い詩を読み
    涙がこぼれました。
    是非とも、遺族の方にこの素晴らしい詩を
    読んでもらいたいですね。
    爺、頑張って。

    返信削除
  6. こういうブログの宿命で,過去の深いところにコメントがあっても,なかなか人様は見れないですねえ。さなえもん,ありがっとう。
    ルプレストは明後日(3月12日)にバタクランで,オリヴィア・ルイーズ,サンセヴリノ,ジャック・イジュラン,エンゾエンゾ,ロイック・ラントワーヌ等 "Chez Leprest"に結集したアーチストたちとコンサートです。
    さなえもんを泣かせる文章を書くことが爺の生き甲斐です。

    返信削除